夜はゆっくりと老けていった
楢山孝介

ぽっちゃりな朝を抱いていた
ムキムキの昼に抱かれてた
真っ赤な夕方に怒られた
抱き抱かれ怒られて性欲は薄れてしまったので
夜とは一晩中語り明かした
他愛もない話だった
どうでもいい話だった
結局途中からほとんどエロい話になった
そうこうしているうちに
夜はゆっくりと老けていった
じわじわと皺が増え始め
その裂け目から光が漏れだしてきて
曲がってきた背中の向こうに太陽が見え隠れし始めた
一晩しかない夜の命を
一晩のエロ話に費やさせてしまった
すまなかったと謝ると
夜はどうして謝られるのかわからないといった様子で
エロい話は楽しかったと言ってくれた
陽光にやられて消えていく夜を
抱きしめてやるも時既に遅く
何も出来ないまま夜は消えていった
悲しかったり眠くなったりしたけれど
とりあえずまた
ぽっちゃりな朝を抱いてみた


自由詩 夜はゆっくりと老けていった Copyright 楢山孝介 2007-04-26 11:31:45
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