と
恋月 ぴの
あなたに似ている
と。言われたくありませんでした
わたしはわたしに過ぎず
あなたのクローンではないのだから
あなたがいなければ
生を授かることはありませんでした
それだけは否定できないこと
あなたがいたから
今日のわたしがいる
母と子の関係とは異なる
あまりにも希薄過ぎる繋がり
電線に絡まったままの凧糸のように
春の風に所在無く棚引いては
最後に会話を交わしたのはいつの日だったのか
そんな想いに暮れなずみ
青白い塊となった
あなたの体が
暗い隊道の奥深く押し込まれ
こちら側と
向う側を隔てる扉が硬く閉ざされたとき
帰らぬひとよと涙を流しました
誰かが確かに生きていたという痕跡を
鉄箸で摘んでは白磁に納める
葬儀と言う名の儀式に拠り
ひとは無と朽ち果てることを赦免され
白磁の温かく緩やかな時の流れに
あなたのこころは
母の胸に抱かれし幼子となる