14:34発
湾鶴

14:34発

皐月のシャツ着た
ゆふいんの森5号
水平線を描く
電線を
斜め下から
追ってゆく
風景も
ゆったりと
融けて
車窓の後ろへと
帯びてゆく

電車の中は
かすかに
アルコールの匂い
酔っぱらいは
見当たらない

となりに苺を座らせて
メモを眺める
婦人

四角いメガネを
はずして 目をこする
年齢不詳の会社員

膨らんだボストンバッグには
たくさんの菓子パンと
洗いたてのバスタオルしか
はいってなさそうな
青年

あとはシートから
はみでた頭が
ぽつり


咲いて

後ろの席は
菜の花の領地となり
高校生が乗っていないことを
ありがたく思いながら
寝ころぶと
車掌さんの声も
とろんとした



自由詩 14:34発 Copyright 湾鶴 2004-04-28 18:18:22
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