(蒼く淋しい春のただなかにいた日々
たそがれどきの所在なさに
私は絵本などをつくって
遊んでいたのでした
市販の便箋の絵のなかに )
ほ おーい ほ おーい
もどっておいで
遠い あこがれ
忘れてしまった 約束
もういいよ
その言葉を待ち続けて
待ち続けて…
どうやら僕は
おじいさんに なってしまったようだ
きみの声 どんなだか
忘れてしまったのに
こうして 目を閉じていれば
きみの ほほえみ は
あのときのまま
僕の心も
あのときのまま
わるい魔法だ なんて
うそ だよ
春の新しい 花の香に
つつまれていると
僕には ほんとうに
よくわかるんだ
きみの声が 魔法を解くのさ
僕は あの日のままに
少年の姿にもどって
きみを つかまえるだろう
そうしたら
こんどは きみのばんだよ
魔法にかかって
僕のうでのなかで
僕とひとつになるんだ