あまい水
くあせ@ふじこ




目覚めて一杯の水を飲むあいだ
私の胸の潰れる音が
乾いたシンクに響く
これはひどい朝


今頃、かの人の布団は
きっともぬけのから
私の朝は遅かった


そのシーツの
過ぎ去ってしまった温度と
冷たくなった匂い
私の胸部の奥の奥には
今も甘い膿が流れ続けて
愚かな朝だ
こんな寝起きを迎えるために
寝坊したんじゃない


なぜかしら
水がすごく甘い味がするの
おはようと
呟くと
かなしい
おはようとさえ言えたら
明日から寝坊なんてしない


自由詩 あまい水 Copyright くあせ@ふじこ 2007-01-30 22:47:19
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