不在告知
まれ


帰ると、きみがいない部屋で窓を壊すから
風が気持ちよくって
ぼくは
失くした物は見つかるはずだと思う

ドアの外で物音がして
開けるけど姿も見えない いないのだ
夕陽の薄暗さ、なまぬるい明かりの六畳
見返せば影差す

きみ、
心当たりのない誰か 立っている
だけどそれは鏡だ それはぼくだ
ねえ、
太陽が落ちてゆく 湯を沸かす
 茶を淹れる 闖入者に供するために

暗くなってきたから電気を点けよう
 豆電球のほの明かり 影を存在させるために
   残ったものを掻き集めて語るから

夜は出会いを準備しているけど待ってほしい
ぼく
は まだ残り物を消化してないから

愉しく影との団欒 長い不在に備えて
遠くこだまに応えて


自由詩 不在告知 Copyright まれ 2007-01-26 22:22:11
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