水色の気配
まどろむ海月

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  ? 妖精


真摯すぎる球体に圧縮されて
解凍できない孤独

絶望は安らかな顔で
未だ眠っている

秘密にも行き場所がなく
からみつく焦燥感に
軋む風さえ途絶えた



 荒れ地に面した窓が開いている
 壊れたピアノに射し込んだほのかな光から
 既視感のない音が漏れている

 間奏には微細な色の傷も
 揺れ動いているが
 小鳥の声の音色に
 名前を呼ばれた気がする



  優しさは
  配列にも羅列にもない

  偶然と気まぐれに導かれ
  あなたは
  匂いの散らかる野に出るの

  過ちと罪を数えるのをやめ
  硬くなった指を空にのばし
  水色の瞳に歩みいるの

  柔らかな春の胸に抱かれ
  強すぎる香りに酔いながら
  花の葉脈をたどる旅に
  癒やされても
  いいはずよ




 きみは だれなの ?





             




   ? 水色の気配


誰の命も削らせないようにと
命を削り
心安らかにと伝えるために
心を砕く



今日も寒いね
それでも確かに
水色の気配がするよ

気孔からも 風紋からも
滴りからも 水脈からも
耐えるものからも 眠るものからも
佇むものからも 嘆くものからも
怒りからも 焼けつくものからも
痛みからも 悲しみからも




ああ
それらすべてに
春がやってくる

春はやってくるのだね





       









自由詩 水色の気配 Copyright まどろむ海月 2007-01-17 11:26:02
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