水色の気配
まどろむ海月
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? 妖精
真摯すぎる球体に圧縮されて
解凍できない孤独
絶望は安らかな顔で
未だ眠っている
秘密にも行き場所がなく
からみつく焦燥感に
軋む風さえ途絶えた
荒れ地に面した窓が開いている
壊れたピアノに射し込んだほのかな光から
既視感のない音が漏れている
間奏には微細な色の傷も
揺れ動いているが
小鳥の声の音色に
名前を呼ばれた気がする
優しさは
配列にも羅列にもない
偶然と気まぐれに導かれ
あなたは
匂いの散らかる野に出るの
過ちと罪を数えるのをやめ
硬くなった指を空にのばし
水色の瞳に歩みいるの
柔らかな春の胸に抱かれ
強すぎる香りに酔いながら
花の葉脈をたどる旅に
癒やされても
いいはずよ
きみは だれなの ?
? 水色の気配
誰の命も削らせないようにと
命を削り
心安らかにと伝えるために
心を砕く
今日も寒いね
それでも確かに
水色の気配がするよ
気孔からも 風紋からも
滴りからも 水脈からも
耐えるものからも 眠るものからも
佇むものからも 嘆くものからも
怒りからも 焼けつくものからも
痛みからも 悲しみからも
ああ
それらすべてに
春がやってくる
春はやってくるのだね