伝わらない言葉
つばくらめ
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
この前マックに入ったら
てりやきバーガー食べさせて
自分はつっぷして寝てる母親
子どもは静かにDSで遊んでる
だいじょうぶなのかなぁ
こんなんでいいのかなぁ
そういうぼくは 携帯をイジりながら
返事は後でいいやって コーヒーすすってる
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
自分らしさだなんだと言って
なにも言わない先生たち
他人のいない世界だったら
自分なんて意味がないのに
勉強はもうしたくないの
とはいえ やりたいこともないの
一体どっちへ行けばいいのか
渋谷行きのキップなら買えるのに
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
アベさんは腹が立つよね
オザワさんだってムカつくよね
テレビに向かって怒鳴ってみるけど
どうせ寝て起きたら忘れてる
しぶしぶチャンネル替えてみれば
芸人が上手にイジめられてる
「やっぱりお前はつまんねぇなぁ」
笑えるけど楽しくはない
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
あの人は神の名のもとに絞首刑
あの人は神の名のもとに殉教
神さまは教えてはくれない
天国以外で生きる道を
今も世界のどこかには
路上で光をうしなう子ども
ぼくはコンビニの唐揚げのお釣りを
小箱に入れて救ったつもり
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
どんなに言葉を尽くしたって
どうせ誰にも届きやしない
誰にも届きやしないけど
それでも言いたいことがあるんだ
この世界に愛を
この世界に愛を
愛なんかじゃ世界は救えねえよ って
ぼくを睨んでいるその人にも愛を
ぜんぶ染み渡ってしまえばいい
利益とか正義とか道徳とか
ぜんぶ溺れてなくなってしまえばいい
この世界に愛を
この世界に愛を
いつか 分かり合えないあなたと
濡れた目で怒りを分かち合えますように