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たぶん少し疲れたのだ、という理由で床に転がる。
ごつごつとした床が柔らかい耳を飲み込んでいく。
徐々に徐々にそれに慣れる頃‥。
時間はとうに何日か、を刻んでいた。
空調機の「ブーン」と唸る音を拾 ....
夕暮れは
いつまで経ってもやってこなかった
川原に揺れる黄色は
菜の花のようにも見えたが
菜の花でないことはわかっていた
季節は秋
それでも遠目から見た黄色は
何となく春を思い出 ....
只今
大変混雑している為
空にお越しの方は
しばらくお待ちください
一瞬で
それと分かる匂いは
金木犀
幼き頃の庭遊び
細かな花びら
摘み取って
硝子の瓶に蓋をした
秋の陽だまりにも似た
満ち足りた表情で
その濃い芳香さえも ....
始まりは
木もれ日の色
風の音色を
静かに重ね
深い朱色に
染まる時まで
朽ち溢れた花びらは
先ほどまで
朱く萌え
そこに立ちいた
曼珠沙華
終りをみるの
何度でも
傍らで
見送る私は
何、想う
終りをみるたび
思い出す
始まりがある ....
秋のはじめのある日
川辺りを散歩していた風は
色とりどりに咲いている花を見つけました
‥なんて綺麗なんだろう
‥一緒に遊ばないか
風がそう言うと
花は恥ずかしそうに
コクリと ....
窓を開けた瞬間
朝一番の風は
薄手のシャツを抜け
眠気交じりの肌を
下から上へとナゾルように吹いてきた
頬から
首筋
うなじへと
同じ風に包まれてゆくのをそのままに
まだ整えてい ....
今しがた
煎れたばかりの紅茶は
口をつけないまま
冷たくなって
湯気をたてることも
香りが揺れることも
なくなっていたので
カップの上から覗いてみた
ふたつの瞳が私を見ている
ティーポットに
熱い ....
季節は一冊の本にまとめられ
秋の頁をめくりながら
月明かりの下
あなたの言葉を
思い返すのです
秋の頁はとても長く
多くの言葉で
埋め尽くされているはずなのに
めくってもめくっても ....
「ふう、暑い」
小さい秋を
掴まえて
名残りの陽射しが
傾いていく
揺れる枝さき
ほころぶ花びら
きみ、想う
いつか
その日が
きますように
夜ごと
空をみつめては
十五夜をまつ
きみ、想う
いつか
月のあかりも
届きますように
※写真は萩です
秋のはじめの
雨は優しく
しずかに
しずかに
色をさす
花かんむりの薄紅
手折るのを忘れ
肩にも雨は
優しく降りる
きみの帰りを待ちわびて
雨に煙ったアスファルト
ずぅっと先に目をこらす
きみと遊んだ
ねこじゃらし
今日は
つん と 雨の匂い
ボクのひげにも
雨の匂い
いくどめの夏の陽を
やわらかな肌に射し
花と笑い
鳥と歌う
口もとから
こぼれるものが
微笑みであるように
眼から
あふれるものが
光とな ....
今日、会いたい
きみを待った
時計の中で明日を迎える
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