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膨らみかけの
まるい頭を圧する手は
あなたにとって
始めての試練
そうして知るだろう
温みあるやわらかな手が
差し伸べられるあしたを
そうして迎えるだろう
ため息と酔うた目に
愛でられる日を
花 ....
君の固く閉ざした唇が
すこし緩んだから
僕の眉間も緩んだ
緩んだ口元から
笑みがこぼれたから
僕の目尻も下がった
こぼれた笑みが
そこら中に溢れ始め
眩しさに笑った
....
私、空を飛ぶ
海の青さ、空の青さ
イコールで繋いで
逆さまになっても
怖くないでしょう
陽の光、あの笑顔
イコールで繋いで
おちても
痛くないでしょう
....
窓辺に置いた花が
枯れてしまって
悲しむわたしのもとへ
風が
山の裾野を渡り
あなたの窓を
こつんとひとつして
わたしの窓にも
こつんとひとつして
風の
通り道が出来たことを
知 ....
あの手紙を
風に託したのは
去年の秋のこと
あのとき流した
涙の理由
忘れたふりして
送った月日の重たさも
体の一部にしたけれど
それも性分なんだと
開き直れば
今、吹く風の行 ....
春の種をまいたら
水をあげよう
すきまなく潤してゆく
ぎんいろの雨が
わたしの窓にも
あなたの窓にも
芽吹いた想いも
大きく育ちますように
喉に閊えた言葉
書きかけの詩を
そのままに
それが何なのか
くもるガラスを
手の平で拭いた
思い出せるまで
流れ落ちる滴が
腕を這う
終わらない迷走
いつ ....
春に
桜花ほころぶように
夏に
青葉の目映いように
聞こえる
声なき声に
心はおどる
あなたにそっと
触れたくて
秋の
時雨に濡れるように
冬に
....
すこしずつ
色を足し
気づかれないよう
形をかえて
満月を
あとふたつ数えたら
「春」になります
北風の止んだ空に
雲の声がした
無くしちゃった青い傘
お気に入りだった青い傘
さがしに行くよ
雨に会えそな雲の下
風が頬にあたるのも
ポケットの中の手が
温まらないのも
気にしない
雨の降りそな雲の下
み ....
あるときは
強く美しい旋律を奏でる
それはまるでピアノの線
あるときは
掴むには細く守るには脆い
それはまるで蜘蛛の糸
喜びも
哀しみも
銀色に光るひとすじの涙
なっちゃんだって
辛いこと、悲しいことあると思うよ
みんなが寝静まった頃
こっそり泣いてるのかもしれないな
それでも朝には
こんなに笑顔
自分も頑張ろうと思う
今朝書き終えたばかりの
手紙を紙飛行機にして
あなたへと向かう
風を探している
雲ひとつない晴天の空は
太陽の傾きが眩しすぎて
方向を示すものが
見あたらない
そこへ向かう風は ....
眠りに就く時間
西の窓に月明かり
眺めて寝るには
ちょうどいい
感じるほどの冷たさに
静まる鼓動
もの思うには
ちょうどいい
きのうの顔と
きょうの景色
きょうの顔と
あ ....
底から見上げる水面が
青く青く煌めく
僕等は魚になったのだ
こぽこぽ
君の吐く息が
光の結晶になって
水中を揺らめかす
こぽこぽ
僕の吐く息が
滑らかな
螺旋をえがく
....
日溜まりが好きなこの手の願いはただひとつ
あなたの笑顔を見ることだった
ガラスの窓に近づける
湯上り 頬が 体が
滴の残る 洗い髪が
外気をひろい
火照ったのを
冷ましてゆく
くもったガラスに
呼べない名 を記して
人差し指は
その名を容易く
....
青い表紙アルバムの
厚さの分の年月と
重さの分の思い出が
一頁めくるごとに
セピアの匂い
胸にあふれる
微笑み手を振る
写真の中のその顔は
ふくよかな紅色の頬も
まるく黒い瞳の色 ....
氷の風が吹く夜は
星の瞬き蒼蒼と
淡く浮かんだ
あなたの表情を
交す言葉の
間に間に見つけ
愁い喜び泣き笑い
腕を伸ばして
頬に指さす
柔肌温み
伏せた睫毛に星あかり
鼓動の ....
あんなにも
街中が躍っていたのに
クリスマスは、もう
両方の視界を跨いで
遠退いていったね
‥貴方と私
色あせたイルミネーション
雪の花が咲くのを待つ
‥雪の降らないこの町 ....
五十八の石段を
数え終わる頃には
湿気を帯た冷気が
まとわりつく
空が
見え隠れする木立は
小さな欲望が
うごめきを見せるよに
さわさわ
ざわざわと
社の片隅
秘密の場所にも ....
ガラスの割れる音
透明な緑が散らばる
破片を拾い指を切った
あふれ出る血を見る
隆起する鼓動が
波の音に変わり
蒼い海が赤く染まる
はやく
はやく
....
猫はネズミを捕る
と決まっているわけでもないだろうに
きみときたらネズミをくわえて
クリスマスには早いわたしの枕元
スズメの時もあれば
夏にはカエルだったね
食べる為ではなさそうだけど
....
子供のころ
父さんの行きつけの床屋さんで
髪を切ってもらっていた
そこのおばちゃんは私の髪を梳かしながら
「○○ちゃんの髪はほんと硬いね〜、櫛が折れちゃうわ」 って笑うから
いつも ....
空が
すべってくるのを
まっている
雨 も
雪 も
白い雲 も
お日様 も
冬の始まりを告げる座標に
押されるよう
ふたつの影が仰向ける
チラと微かな瞬きは
右と左で繋げた手を
冷たく濡らして
吐く息だけに色をのせ
その儚さに
ふと きみが
いなくなるような気がして
握っ ....
かさかさ
こそこそ
内緒のはなしは
あのね、のね
葉っぱをめくって
こっそり隠す
かさかさ
こそこそ
落ち葉に
落ち葉に
あのね、のね
草をはむ靴音を
幾度となく確かめて
渇いた枯れ葉の上に
柔らかい音をたてた
それ一枚ずつに
言葉があるかのようで
カサコソと囁いては
木漏れ日に揺れ
風に流されもする
....
コスモスの
好きから始まる
恋占い
花びら八枚
願い叶わず
しぃ、静かに
足音を消し
息を殺し
傘を持つ手が
微かに震える
雨音を丁寧に拾う
小雨に近いそれは
白いせせらぎになって
さわさわと
ざわめきたつ
煙草 ....
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