すべてのおすすめ
封筒に花をつめて贈る
もう届くはずのない海の底
砂とコンクリートで満たされた場所で
白骨化した魚類たちと眠っている
赤いポストに届けたい
気取るつもりはないけれど
想いを物に変えて何か ....
この糸のさきを
だれもが放してしまった
糸のかわりに
だれもは棒で突いてきた
棒を糸だとつかんでみても
からだは痣だらけになるばかり
この糸に風が吹くのを
じ ....
トントントンごめんください
コンコンコンごめんください
カンカンカンごめんください
キンキンキンごめんください
ドンドンドンごめんください
バンバンバンごめんください
....
黒いソックスを穿いて
指定された紺色のカーディガンの上に、黒のブレザーを羽織った。
今日も学校に行かなくては
何の為に、卒業する為に。
制服を着ると体が微かに緊張感を保ち
胸を真っ直ぐに張ろ ....
花言葉が咲いている
まだ形も色も匂いもないのに
言葉が先に咲いている
なんという幸運
すれ違う人々の声も
花言葉のように咲いている
みんなそれぞれ
誰かの花なのかもしれない
....
時間が揺れるのは
重力の影響によるものです
人生が悲しみばかりだと思うのは
幸せがすぐそばにずっとあるからです
身体の外には未来があって
身体の中には過去があります
生まれた事 ....
私は、
有形の門を通りすぎ透けた暗さ
届かぬところへしみる幽かな終止符
行方知れずの墓
墓標は名無しの波止場
船は無人で行き交う汽笛
宙をつかんだこぶしをひらいて
手をふ ....
三月ですから
春の匂いをただよわせる風も吹き
草木の色も何となく鮮やかに見えるのです
あなたは
うまくふくこともできない口笛で
僕が知らないメロディーを
そんなものたちに聴かせるように ....
まもなく幸せになれるでしょう
と言われても
不安感の先立つ今日この頃だから
それって、ほんとかなと首をひねってしまう
フィギュアスケートとかのスポーツ番組みてると
まもなくまもなくっ ....
配給された その竹槍で 何が 刺せるのですか
高射砲の弾丸も届かない
遥か 雲の上 から 無差別に 奴等は爆弾を投下したのです
あなたのヨイトマケで どれくらい深い 穴が掘れましたか
その ....
かわいい、こどもみたいなかなしさ。
いつかは別れると思ってた。
でも全部わたしになった。過ぎ去ってはじめて、わたしになった。
だからもう一度出会えるよ。新しくじゃなくて、続きじゃなくて、ただ ....
僕の中で何かが決壊するとともに
完全に終わった
真夜中は爆発して
ウルトラマリンの朝が始まる
その青さったらなくて
スコールのように
目にじゃばじゃば入ってくるんだもの
原色の獰猛な ....
雪の降りた朝に
わたしは吸い込む
冬の鳴き声を
しっかりと逃がさないように
両の耳で
抱きしめる
冬の呼気を
愛おしいから
二度と離れるのはいやだから
この手は放さない
世のすべての自覚ある自由なき人々よ
今こそ地下に潜れ
地上では、我々は悪の手先であるしかないのだ
社会的にも、政治的にも、芸術的にも、学問的にも
何もするな
悪の手先の言動はすべて ....
おはようが
はいる
からだ
透明な壁
両手のひらをつけたら
冷たい冬の風が伝わってきて
内側と外側の隔たりを感じた
両手のひらを胸にあてたら
どうしても届かないところにあって
淋しくなるほど困った
夜になって窓を見 ....
私の母は奇跡を起こした
汚染された体でふたりも子供を残しどちらも大人になった
母は最大の炭坑の町で生まれ育ち
彼女の父は炭坑夫で体中を癌に冒された
彼女のきょうだいもみんな癌に冒された
きょ ....
荒川の河川敷 土手の下に
古ぼけた木造アパート
モルタル塗らしかった壁の
モルタルは剥がれ落ち
グレーの下地に
枯れてしまった
蔦のツルがへばり付いている
空き家のようだが
夕暮れ ....
おかあさん誕生日おめでとう
不思議なことにこの言葉を
面と向かって言った記憶がない
おかあさんが生まれた日を
祝った記憶がない
おかあさんはいちごがすきと
知っていたけど買えなかっ ....
急いでいるつもりもないのに
今日があっという間に過ぎてしまう
つまづいて転んでも
どうせなら明日のほうを向いていたい
あたりまえに埋もれてしまったものを
振り返って探すことは難しいか ....
世界の果てに 椅子を二つ置いて
暮れつづける夕暮れと
明けつづける夜明けとのあいだで
いつまでも 話をしていよう
ひろった貝殻をスコップにして砂浜をほると
そこには少し離れた海とつながる
小さな海ができる
何度かの波の繰り返しで
まるで何もなかったみたいに消えてしまう
小さな海ができる
....
・
午後四時
青の上から
橙や赤や紅色が
塗り重ねられてゆくのを見ながら
大急ぎでベランダのシーツを取り込む
あのうつくしい仕事をしている人が
どんな人だかは知らないが
時折
ゆるめ ....
1年ぶりに
網戸を掃除する
お気に入りのミュージック
iPhoneから流して
きれいにも見える
その編み目から
次から次へと
汚れは流れる
堆積する
気づかぬうちに
経験
....
そこを曲がると、雨が降る
ずぶ濡れのふたりが駆けてゆく
それは遠い昔のこと
「どこかにいきたい」と
ふいにあなたはいった
ぼくは
「どこにいきたいの」と
あたりまえのようにきいた
「やさしさのあるところ」と
さびしそうにあなたはいった
ぼくは
「こ ....
ざわざわ
ざわざわ
ざわざわ
広い校庭を埋め尽くす生徒たちが
ざわざわ
ざわざわ
ざわざわ
騒がしいから注意したい
だけど今日も見わたすかぎり
キミたちのほとんどの苗字が佐藤
この ....
ヒューストン ヒューストン 聞こえるか
君がどこかでこの声を聞いていることを信じて電波をとばしている
あと2時間で金星の長い夜があける
ただし30分後から 強い雨がふりはじめる 間違いな ....
「わたしのこころはサーモンピンク」
そのフレーズを見出したのは
確か「りぼん」誌上であった
もしかしたら「なかよし」だったかもしれないが
「少女コミック」や「プリンセス」や
「花とゆめ」 ....
おまえらの心が傾くところに
どんな花が咲くか見てやろう
それがこわいって言うのか
種も蒔いてないくせに
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198