強く高みを掴んだ
脚に力を射して
秒速の息づかいを届けた
筋肉の震え
ハチドリの余韻
ふたごの虹

高音域を続けたのち
からだをつらぬく絹糸
歌はすべて感情から生まれ
歌はすべてあ ....
置忘れたチェロのように
湿気た香気を曳きづり
レモンの輪切りに一瞬、鮮明になる
あなたの狂気ほどの余韻
そのなかに
モーツァルトのタクトが
華奢な骨格に納められる
青白い石膏のくちびるか ....
急かすほどに緩まる手綱を
持て余しながら
黒目がちに揺らめく人々の波を掻いて
少女は
遠く、海を目指した





蹴り飛ばす買い物袋から、無精卵が弾け飛んで
方々 ....
さむいのは苦手だから
言葉が浮遊して寒風にさらわれてゆくけれど
ほどけた靴ひもよりもきみの声の続きがききたいから
吐き気がするほどの鮮やかな春を待ちわびて
春が来たらゼリー状の鬱屈を吐き出すの ....
去年の九月に赤い薔薇と葬った
人の墓に今日もまた
花の一束と共に言葉を捧げに来た
少女は途方に暮れる
一面の雪の上
去年が埋もれてわからない

地図の無い一日
悲しみは道をしるべを失い ....
こわがりさんに教えてあげよう
どんなに強く引っぱったって
うさぎの耳は取れたりしない
お星が空からこぼれぬように

ビニルのかばんにボートを入れて
雲母の国まで遊びに行こう
あんまり笑い ....
天地創造/泥の人形/吐息/わたし

塩の柱/エノクの復讐/飛び去った

ヤコブの梯子/密室の蝶/花瓶/一滴

砂丘の椅子/はためく背広/空の鳥かご
【電気:魚屋スイソ氏】
心臓がケイレンしたので気持ちだけ電気で飛びますきみの街まで

【白線:る氏】
白線をひたすら朱く塗ってゆくそんなバイトを探しています

【信号:鈴木みか氏】
ほっ ....
素粒子の海で、分解されたままの、不確定の、私達という、名の、洗われた、ものたちが、今、優しい、数式で、拾われて、わられていく、言葉たちは、ちりぢりになって、目にみえない、わたしとあなたは、いくつもの素 .... 筋弛緩剤を飲み込みました
貪るような悪夢に自慰を注いで
汚れた眼球は排水口に流すのですが
ベッドの足にピンク色の縄跳びで結ばれているので
シンクまでは少し遠く
ゴミ箱に吐きました
君がなか ....
語られた台詞は
ため息の泡立つ場所のものだった
笛が口から溢れて
音楽はきっと鳴らされた
大いなる歌は帰らない

記録された言葉が
私の足元を祝福が照らして
私を導いた 私が集まった
 ....
{引用=
白く、鉄塔が、明け方の空に溶けこむ。昨日からの読みかけのページをめくるように、朝は、なめらかにわたしに降る。ここから失われたものなど、ひとつもないかのように、無音のまま、満ちていく。水を ....
もう着るものかどうか、わからないけれど
さらさら、木綿の肌に触れる

待ちうける その時の
今 やってきた季節のさかりに
たくさんの声がする
行こうか/行ってきます/行くよ/さあ
いって ....
{引用=くりかえされる、すべてのいのちと
いとおしきわたしの二人称たちに}


わたしがあなたを産んだそのとき
それとまったく同時に
あなたがわたしを産んだのです
この、配線だらけの街の ....
コイン型の潜んでいたりありてぃが溢れそうで思わず叫んでしまいそうでした
部分的に降る雨、といいますか、
局所的にそれはまるで僕だけに降り続けるような
金色でも銀色でもない
猿ぐつわでございまし ....
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