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久しぶりに息継ぎしたら
歯磨き粉みたいな
ノスタルジイが
喉に染み渡った
垣間見た空は遠すぎて
その場限りの
センチメンタルなんて
届きそうになかった
きっぱりと反転して
....
ほどよく素っ気ない風が
袖をめくり上げたシャツを
透過していく
さらさらと粉っぽい光が
釣鐘堂の屋根を滑り
落下していく
手桶と柄杓と
線香と花と
いくばくかの懐かしさをぶ ....
鳩尾を透過していく
風のライオン
たてがみの感触に
背中が粟立つ
睫毛を蹴って逃げ出す
光のインパラ
ボンネットを飛び移る
逃げ足が眩しい
舗道に投げ出された
影のアミメ ....
草木萌動
そうもくめばえいずる
厳しい季節を越えて
蓄えられてきた力が
和らぎ始めた光と風の中へ
堪え切れずにはみ出す
樹皮を突き破って
凍土を持ち上げて
命のベクトル ....
ほぼ等間隔に置かれた
不安のハードル
倒さないようにしながら
生真面目に歩く
決して抜け出せない
ループの回廊
天気はいつも晴れのち曇り
ところにより雨
ほぼ等間隔に現れる ....
春がいる
駐車場の奥の
ハイブリッド車伝いに
ブロック塀の上に飛び乗った時
チイ子はそう思った
春がいる
朝の見回りで
ナワバリ荒らしのクロに
やられた三角耳がまだ痛む ....
見慣れない電車を
何度も乗り継いで
見知らぬ人達に
何度も道を尋ねて
見惚れた造花で
何度も指を切って
見損なった夕焼けを
何度も何度も許して
やっと辿り着いた
近所のコンビニで
アイスクリ ....