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横向きの首をゆっくり上向きにする。
夜が来ていることをたしかめるように息をする。
汚い音をたてて空気を吐き出し
汚い音をたてて空気を吸い込む。
夜だ。
夜の臭いがする。

手探りで自分の ....
心臓がゆっくり動いている。
ゆっくりすぎる。
こういうのを徐脈というのだと
知識としては持っている。

目の前が白い。
何も見えないほどギラギラと白い。
白いがこれは眼前暗黒感に変化する ....
真夜中の校舎がいきなりスライドした。

なんのことかわからなくて目をみはる。
見覚えのある建物はすでにそこにはなく
見たことのない建物がそこにあった。
そこに行かねばならないとわかっていたの ....
どこの誰のせいで、とは言わないけど、つーか言えないけれど、私はこないだからだいぶおかんむりで、イライラしまくっている。イライラを吐き出さなくてもそれほど精神衛生を悪くするということはないけれど、少なく .... 明日がある
と貴方が言ったので
私はすこしだけ淋しかった

いつだっけ
明日がどこにあるの
と尋ねたら
東北東
と答えたのよね
貴方は

どこからくるのか知らないけれど
明日は ....
雨がしとど降る夕方にさえ
その図書館は
虹のなないろよりも多くの色彩にあふれているのでした

花はバラ色
空は空色
木々は緑

図書館に住む少女たちは
童話の勇気ある少女のように
 ....
髪の乱れを気になさるな。
血濡れた衣も気になさるな。
そなたは美しゅうござります。

この身はすでに腐り果て
ところどころに穴ひらき
覗く腐肉に蛆が這い。
しかあれど
まなこはかっと見 ....
{引用=私イコール作者だと信じる純朴な読者は、読むな。}


夫のいびきが隣の寝室から聞こえる
ここは私の部屋で ここにあるのは私の取り分
大きな書棚 たくさんの本 オカリナ ちゃちな顕 ....
ここで赤い魚の話をしてはいけません

最初の貼り紙は公民館のドアに貼られた
誰が貼ったのか
誰も知らなかった

次の貼り紙はあちこちのスーパーで見られた
誰が貼ったのか
店員も店長も知 ....
ええ レモンの花は咲きません
ええ こがねの柑子も実りはしないのです

くらい森に目立つのは
変にほうけたタケニグサ
それからキノコ
ススキの穂

でもあのはるかかなた森の奥
湖があ ....
海の底に潜む深海魚が
巨大な目で
わずかな光をとらえるように
目をこらしていましょう

そうすれば
この暗闇に
光を見いだせるはず

貴方の隣にいると
いつも泡のように
綺麗な言 ....
夜更けにひとり目覚めていたり
残業のあと酒くさい終電にすわっていたり
まだ朝も暗い道を急ぎ歩いていたり
あるいは騒がしいファーストフードショップで
ふとお喋りがとぎれたり

そんなとき
 ....
翼がほしいって
貴方は言う

力強い翼があれば
広い広い空を自由に羽ばたいてゆくだろう
そしてどこまでもゆくだろう
見たことのない大陸の
想像したこともない遠い空へ

それを聞きなが ....


白い人は浜辺を見つめ
見つめられることで
浜辺は姿を変える
夏から秋へ

飛び交いながら鴎たちは嘆く
生まれそこなった夏を
背後には大きな波
あれは九番目の波

白い人は ....
老女になりたいと思うことがある
老婆 というのでは色気がないので
老女 というのになりたいのである
あくまでも 老女 なのである

お抹茶たてて優雅にきみしぐれなど食べながら
とい ....
赤ちゃんがあまり泣くから頭が痛くなってしまって
鎮痛剤を2錠飲んだのだけれど治らなくて
もう2錠飲んだらついうっかり眠ってしまったの

目をさますと 部屋中に片づけてない洗濯物
たっぷりウン ....
雨は降りそそぐでしょう禁じられても
大地は受け止めるでしょう嘲られても

たとえ何億回囁かれたとて
愛は愛でございますとも
たとえ道端で売られていてさえ
人は人でございますとも

あた ....
うちの近所の橋の下に
ホームレスのおっちゃんが一人住んでいて
橋下さんと呼ばれている

橋下さんは五十代半ばくらいで
よく釣りをしている
釣れた魚は焼いて食うらしい
釣りをしていないとき ....
ブラジルサントスの珈琲は飲む人の注意力を増し
キリマンジャロだかブルマンだかは飲む人をリラックスさせるのだそうで
でもそんなことどうでもいいなカフェインが欲しいだけだよと
夜九時半の駅前ローソン ....
昨日を映す鏡がある。
鏡の中の私は
コーヒーカップ片手に
煙草をくゆらしている。
煙草の煙が文字を描く。
危険
と読める。
昨日の私はいらただしげに
カップを持っていない方の手で
空 ....
安心できる人に出会ったので、
すこし、うれしい。

あなたが今おもったような意味ではなくて。
私はその人を放っておける。
ほっといても心配しなくていい。
私がバカげたことをしても、きっと
 ....
おれが人間味を失いはじめる
二日月の一日
おれは昼行性のホモ・サピエンスらしく
眠ろうと試みている

もうすぐ明け方になるらしい
九月なかば
エアコンのない部屋は
こんな時間にもまだま ....
私の身体はやわらかい、
私の身体に剛い毛は生えない、
私の頬は滑らかで、
私の胸は満月の丸さ、
私の下腹には毎月ひとつの卵が生まれ、
そして死ぬ。

音もなく霜の降りる夜半、 ....
さっき何となく星が見たくて外に出ました曇りなので星は見えま
せんでした街灯ばかりがあかるい淋しい夜です何がしたかったの
かわからなくなって家に戻りました家の中は静かなようでいてじ
つはいろ ....
三十はとうに越したが
精神年齢がそれほどいってるかは疑わしい
とにかく子どもは二人ほどいる
「ほど」の部分に何があったかは想像に任せる
下腹はよれたTシャツを膨らませ
ジーンズはさっき下の子 ....
1 夜の庭で

白い米を
黒ずんだ木の升で三合量る

最初のとぎ水は
庭に撒く

立秋を過ぎたので
コオロギが鳴いていて
いるか座が光っていて

だから私はしばらく庭にいた
 ....
夏バテしちゃって
ソーメンばっかり食べていて
しばらく米を食べてなくって
米びつの米はほっぽらかしで

へんだなあとは思っていた
締め切りの部屋に小さな蛾が群れ舞うから
妙だなあとは思っ ....
青白い殺虫灯に
まっさきに誘われて
バチバチと音を立てて
まっさきに死ぬ。

燃え上がる火を見つけると
後先知らず飛び込んで
一瞬火の粉を吹き上げて
あっというまに死ぬ。

光に惹 ....
水埃にすっかり覆われて
ほんのすこしも
動きそうになかった
実際さわっても動かなかった

二本の前肢は
がっちりとハヤをつかまえていたが
そのハヤさえも
半ば腐っているように見えて
 ....
やがて埋め立てられる小さな沼のうえ、
イトトンボが飛んでいる。
二匹繋がって。
澱んだ水面をいくども叩きながら。

沼からちょぼちょぼと流れ出すどぶ。
そのそばにある休耕田。
その脇を流 ....
草野大悟さんの佐々宝砂さんおすすめリスト(34)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
○○○のはなはよるひらく- 佐々宝砂自由詩1+*13-7-24
_深夜一時、心地よくない秘密めいた場所にて- 佐々宝砂自由詩213-7-24
ほむらやまい- 佐々宝砂自由詩513-7-24
今ここにある現実- 佐々宝砂散文(批評 ...18*08-9-17
明日について- 佐々宝砂自由詩9*05-8-2
だいだい色の童話集- 佐々宝砂自由詩12*05-7-31
小塚原道行- 佐々宝砂自由詩13*05-7-28
鏡を割りたくなるわけ- 佐々宝砂自由詩15*05-7-16
赤い魚の話- 佐々宝砂自由詩8*05-6-24
ミニヨンならざる者の歌- 佐々宝砂自由詩605-5-21
希望について- 佐々宝砂自由詩8*05-1-11
目覚めよと呼ぶ声ではなく- 佐々宝砂自由詩405-1-10
自由について- 佐々宝砂自由詩204-11-21
白い人- 佐々宝砂自由詩104-11-6
営業活動としてのマドリガル- 佐々宝砂自由詩3*04-11-6
いと- 佐々宝砂自由詩3*04-10-15
わかりやすい最古の商売- 佐々宝砂自由詩904-10-6
橋下さん- 佐々宝砂自由詩7*04-10-6
ブラジルサントスの珈琲は- 佐々宝砂自由詩404-9-30
鏡の国からの強迫- 佐々宝砂自由詩404-9-30
安心できる人- 佐々宝砂自由詩704-9-20
夜風に吠える- 佐々宝砂自由詩404-9-15
夜を恋する人- 佐々宝砂自由詩6*04-9-5
置手紙- 佐々宝砂自由詩504-8-30
午後の喫煙- 佐々宝砂自由詩6*04-8-26
単純な喜びについての単純な唄- 佐々宝砂自由詩904-8-14
コクガ(百蟲譜46)- 佐々宝砂自由詩7*04-8-10
ヒトリガ(百蟲譜45)- 佐々宝砂自由詩6*04-8-10
タガメ_(百蟲譜42)- 佐々宝砂自由詩4*04-8-8
イトトンボ(百蟲譜41)- 佐々宝砂自由詩6*04-8-8

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