わたしたちより古株で
わたしたちより広い範囲に
(未知種)として一括りされる
名もない虫がいまもずいぶんと生き抜いている
らしい
Gという
まことに理論的な空間で
アドレス武 ....
なにが問題だったのか思い出せないが
風車だけが回っている
からからと音を立てて
空の曇りと
鈍い緑の平原
汚れた漆喰の家と
どこかを見ている巨大な男の横顔
からからからと
音を立てて
....
雨の歌がきこえる
空から放たれ
大地に落ちて
響く、歌たち
この星の、この世界の
この国の、この街で
ぼくたちがいま
確かに踏みしめる土のうえ、
なきがらを見送り
あたらしく生ま ....
長く
太い縄があるといい
南中を見計らい
太陽に繋いでくれ
なるたけ
丈夫な縄がいい
僕を
あの光に吊るしてくれ
....
私がまだ小学生の頃
同じクラスに「わたしのパパはパイロットなのよ」と言っていた子がいた
後日違う子から「あの子の家は古いアパートなんだから絶対に嘘よ」と聞いた
私はその子に嫌いだと言った
....
指きりをしよう
サクマ式ドロップみたいな
とりどりのたわごとが
嘘にならないよう
指きりをしよう
またねという言葉で紡いだ
ほそくつづく糸が ....
それでも日本は
立ち直っていくんちゃうやろか
母は言う
テレビのニュースや
新聞を読んでのにわか知識で私が
精一杯悲劇を語っても
聞いていない風で
ほうか
といったきり
....
月はひとつしかない
それが嘘っぽく思えた
なら世界には
0か1かそれ以外かの
3種類しか数がないみたいじゃないか
そんなはずなかった
月光なら
月光ならたくさんある
傷は癒えるのだろう ....
1年ぶりに
網戸を掃除する
お気に入りのミュージック
iPhoneから流して
きれいにも見える
その編み目から
次から次へと
汚れは流れる
堆積する
気づかぬうちに
経験
....
誰もいない国の
サッカー場の真ん中に
ボールがひとつ置かれている
誰もいないスタジアムから
歓声は上がることもなく
ボールは蹴られ
試合がはじまる
もちろんピッチには誰も ....
ひととひとのきょりがある
わたしたちは
こどくであるために
そのきょりをちぢめたり
とおざけたりして
こどくをいじしてきた
てんたいをふくむ
しぜんげんしょうとして
こ ....
ばかものよ
きみのせかいにだれもいない
ばかものよ
にしのそらにしずみかけている
ばかものよ
そこにいたのはだれなのか
ばかものよ
せかいはもっとひろかった
....
ルールを忘れた
隠れん坊の鬼
もういいかいも忘れて
まあだだよを聞いている
年月は過ぎ
西の空から
日暮れになると
たくさんのもういいよ
さがす人は
もういない
....
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