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君がまだ小さい頃
仕事が一段落すると
すこし秋めいた アスファルトを歩いたっけ
まだ うまく喋れない君の
小さな手を引きながら
やっと歩くことのできる君にあわせ
二人で歩いていた
あたり ....
五十音を並べ替え
キモチはあらわになりますか
だれのものでもない文字は
私のものでもないけれど
心の模様を
伝える手段をもたない鳥は
とぶだけ
とんで
ひっそりと鳴く
赤い感情と青い記憶とを
つむいで
むらさきを織る
夏の恋
ひざまでの深さのつもりで
いつのまにか飲みこまれている
息継ぎに顔をあげるたび
水面にゆれる ほほえみに似た光を
肺にかさ ....
恋慕の奔流に身をまかせるとき
にじみ出していく熱がある
言葉にできないものを
言葉にしなければならないとき
この唇が無力であるとき
胸腔におさまりきらず
とめどない疼き
....
鬼には非ず
母の背に
握りこぶしを
つくりて仕舞う
ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に
光る原っぱ飛ばずにおいで
ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に
沈まぬ池から昇っておいで
....
絶えないノイズが、右の部屋から、左の部屋から、そう、絶えず、聞こえてくる、スピーカーを通した、ノイズのような、ノイズが、両側から、いまいるここに、ここ、ここはつまり、じぶんのへやだった、このノイズを聞 ....
夜の国分町の道路は汚くて/ヒールを履かないと歩けない/アルコホールより/香水の匂いがしている/香水よりもタバコの匂いがしている/前を歩く人を/見失うような道ではないのに/◆/◆/◆/黒い点になって ....
ひとの定型をさがして
どうぶつのにく
や
しょくぶつのかじつ
が犠牲になっていく
ひとのなかで
らしさ
は買えない
貝をお金で買うのが
どれだけナンセンスか
ポストモダン世代にわか ....
シルバー
とてもながい時が過ぎた
とてもほんとうとは思えないくらいの
シルバー、
それでもまだそこにいてくれる?
シルバー
みんなが言う
あたしがすっかり変わったって
シルバー ....
秋の予感がする夜に
金色の蛾は
星をなぞってとぶ
さみしげにゆれる
夏草の穂に沿って
古い時間がとむらわれる
月に咲く花
ただ一輪の歌
真空を呼吸して
たましいたちを導く
....
あめはうそだよ
むこうはどうせ晴れている
公園にそなえつけた船でもこいで
地平線にぶざまなきせきを残す
なるほど
もやは信じてもいいのか
それはもう間を隠してくれるから
いきいきとしてし ....
朝早くのまだ太陽が有頂天でない時刻に、New zealandの片田舎の都会。裏路地の階段の下に住んでいる少年、足の裏が靴の底よりかたいのよ、サンダルを盗んでいったらいいんだ。虹色に騒がれた名画のよ ....
酔っ払った言葉に
含まれる独特の
熱を持ったアルコールが
次々と、
次々と次々と、
虚ろな目を横に
動かしていく
眠り込むあたりに
こぼれ落ちてしまう
転がる目玉を踏まないようにと
....
赤紙が家に貼られている
眇の老人が萎れた体を斜めに
ぽつねんと家を見詰めていた
少し離れた泥溜に立って
観察する事にした
男は死んだ祖父に似ていて
木から彫り起こしたかの様な
固く艶 ....
たったいま
この詩をよんでいる
あなたがきらいです
と
わたしに言われて
どきっとした
あなた
名前はなんと
およびすればいいでしょうか
あなたの名前は
あなた
ではないはずなの ....
かんぜんたいは
ありとあらゆる
条件を
かね備えて
きぜんとしている
が
唯一だから
さみしい
というおもいを
知らないでいる
ふかんぜんたいは
ありとあらゆる
条件が
あり ....
お盆
虫取り
夏祭り
生に近いし
死に近い
いつから
八月になったのか
私には記憶がない
そう言えば
今日
「意味」を全うした蝉が
地べたに落ちていた
とたんに
歪んだ蜃 ....
じいちゃんが
死んで
棺桶に入れられた顔を
じっとみては
安心していたけれど
触ってみる気には
なれなかった
じいちゃんを
火で焼いて
消す
ひどく惨い
ごおごおと
火 ....
夜になると
くるくると私は
私の皮をむく
くるくる くるくる
はじまりまでゆくといきどまり
ちょうどいいところでとめたい
なのにとめどころがわからず
くるくる くるくる くる ....
埃の舞い上がる歩調に
嗅覚は痛みを放出する。
ここに枯れた曜日を
交わして
私の呼吸はゆっくりと
化石する。
もう、映えないで
と弾けた西日に
夜のさりげない会釈を
歪ませて
朗ら ....
白いカーテンの影で
鳥の魂が飛んでいくのを見る
ほくそえむあなたは
ほくそえむぼくと
古いことばは嫌いなのよ
流行らない歌も
流行った歌も
やがて錆びてしまう、手当てできない
....
{引用=
まもるもののない空から
かれの顔や肩に雨がおちてきて
夕ぐれが
せまっていた
きょう
という日は
くぐりぬけねばならない試練のような
分厚い曇 ....
骨を押しつぶす音が聞こえた
あれは傷つける音だ
あれは私を悲しませて、悼ませる音だ
あんな音は聞いてはいけない と
耳を塞いだ
自分か 娘か 迷って、娘の耳を塞いだ
嗚咽 ....
朝日は希望とは限らない
なのに僕ら見つけるんだ
生きる意味
何度も裏切られたはずなのに
僕が僕でそのままでいいなんて
だれかが言うわけでなくて
僕がそう思うことが大事だって
それは本 ....
.
「心から愛する人がいたらそれがぼくなんだ」
世界の果ての向こうから小さな小さな囁き
となって伝わって来るきみの声
それはあまりにも優しすぎて残酷だ
.
アイデンティティとは何だ ....
居場所づくりの雪をかく
道路わきに寄せられた雪 黒くなってる
汚れてる
優しい小鳥は踏んでゆく
もう融けておしまいと
空に持ち帰るのは
だれの願いでもありません
タイヤの跡は
....
雪の上にみんな立てば
ひとりの重さの跡になる
とがったお口でなにを言うかは
厚着しているカラダの都合
さむいね
さむいね
オウム返しに君が言う
言葉がふいに温度をあげる
私の手 ....
{引用=
満月の夜には
外にでてはいけないと老婆はいう
ふらふらと外にでて
川を遡上
青い山に囲まれた
いちばん星空に近いその湖に行ってはいけないと
ゆらめ ....
無線紙の上
這い伸びる
黒インクの静脈は
冬ざれの様相で
ひたひたと
忍び寄る
絡み付く
{ルビ荊棘=けいきょく}の枝を
程良く剪定し
暖炉に放るのだが
パチパチと
節は爆ぜ ....
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