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わたしのおじいちゃんは山が好き
山に入ってはいろいろ採ってくる
ハツタケマツタケイグチにヤマドリタケ
時にはマムシにキムシにハチノコも

一緒に山に行くと
おじいちゃんはよく木々の間に消え ....
わたしのおばさんは
おばさんなんだけど独身だ
結婚してたことはないと思う
本人に聞いたことはないけど

おばさんちには山のように本がある
マンガも岩波文庫もラノベも
エロ小説も詩集も古典 ....
今日は満月だから
と安心して空を見上げて
国際宇宙ステーションを眺めてたら
不意に星が落ちてきた

落ちてきた星はまだ新人で
どう光っていいかもよくわからないし
流れ星になるときの流儀も ....
雨が降りそで降らない
日曜の午後は
ポテトチップ食べながら
録画しといたホラー映画を観る

夜は自然薯を擦って
遠州流に鯖と味噌で味付けて
あったかいごはんと
新鮮なまぐろと一緒にいた ....
私のこどもは一月三日生まれである
陣痛が始まったのは大晦日だった
ともあれ毎年一月三日にはケーキを買いに行く
ついでに正月だから花びら餅も買う

正月三日にでかいホールケーキは
いろいろな ....
輝かしい金管楽器の音が
フォルテのまま終わる
きらきらする残響は
青い大空に解放されてゆく

音楽は終わってしまう
いつもいつも必ずどんな音楽も
残されるわたしは
大空に解放された音を ....
ベルの音が聞こえる
自転車のベルのような気がする
それにしても何度も鳴る
今は真夜中でここは2階なのに

やっぱりベルの音が聞こえる
むしろ近づいてきた気がする
もうほとんど窓のすぐ下で ....
時間に穴を開けてつなげるのが
タイムトンネルで
空間にやたら穴が開いちゃうのは
小松左京が書いてた

認識に穴が開いたら
きっと一種の認知症なんだろうし
心に穴が開いたらそれは失恋
な ....
ひとりで家にいるから寂しい
というのはありきたり
都会の喧騒の中で寂しい
というのもバリバリ既視感

寂しさに貴賤はないとする
軽重はあるとする
浅薄深慮があるかは知らない
寂しさと孤 ....
本当は詩人じゃない私は
君ら詩人のフリをする
本当は無毒のクロアゲハは
毒持ちジャコウアゲハを擬態する

バケモノは
何かに化けるからバケモノ
ホンモノは
生きてるそのまんまでホンモノ ....
1 草

抜いても抜いても草がある。祖母が亡くなるまでは祖母が抜いていた。いまは私とこどもが抜く。春まだ浅いので、たくさん草があるといってもみな背が低い。ヒメオドリコソウ、クローバー、ムラサキツメ ....
やまない雨はないけれど、
世界のどこかでは雨が降る。
たとえ地球の降雨量が
ゼロとなる瞬間があるとしても、
宇宙のどこかでは
絶対に雨が降っている。
硫酸の雨が、
鉄の雨が、
砂の雨が ....
1 歩いていった

ある台風の日、灯台が根本から消失した。台風が原因だと思われた。怪獣映画の冒頭のようだという者もあった。人々はそれなりに天の災いを恐れた。しかし誰も真実を知らぬ。灯台は歩いていっ ....
1 岐路

私は毎日岐路に立つ。朝の窓を開け放ったとき、お昼どきのコンビニで小銭を落として放置したとき、アサヒとキリンとサッポロとサントリーとどれにしようか悩んで結局奮発してヱビスにしたとき、私は ....
そうよ今なら空が明るいのだわ
見上げてよ
あの雲と虹のむこう遠くに
もしオズの国があるのなら

そこにだれも死なない国と
音楽とカラフルな謎と
すてきな魔法と
エメラルドの都に向かう道 ....
そのとき私は十六歳で
まだ何も罪は犯していないと思っていた

電車に乗って席に座ろうとしても空いていなかったので
つり革をつかんだ
そして
向き合った席にいる人の姿に
私は驚いて
目が ....
世界の破壊者は片手を上げ
まわりに誰もいないのに気づくと
片手をおろした

海は波の触手を伸ばして陸に襲いかかり
さらには沸騰し
現在は塩酸になるか硫酸になるか悩んでおり
山はもちろんの ....
おまえが生まれた年に
菜の花が庭にはびこって
それはそれはたいへんだったよ

おまえはまだ二ヶ月だか三ヶ月だかで
はじめてみる菜の花に
はじめて嗅ぐ菜の花に
目をまるくしたり ....
アトピーを掻きむしることのほかに
何ができるわけでもない夜
手の甲をがりがりと掻けば
私がこぼれる

私であったものが
はらはらと床に落ちて蓄積する

少し血の滲んだ指に絆創膏を貼って ....
アラガイsさんの佐々宝砂さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
わたしのおじいちゃん【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩2*25-1-17
わたしのおばさん【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩4*25-1-16
星の新人さん【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩525-1-13
どうして詩なんか書いてしまうんだろう【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩525-1-12
一月三日のバースデーケーキ【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩2*25-1-3
大空【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-12-22
ベルの音【きょうのソネット】【14行怪談】- 佐々宝砂自由詩224-12-21
穴【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩3*24-12-20
寂しさ【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩324-12-19
擬態【きょうのソネット】- 佐々宝砂自由詩624-11-27
瞬篇3- 佐々宝砂散文(批評 ...5*24-6-16
降りやまない雨- 佐々宝砂自由詩5*24-6-12
閃篇5_恐怖の巻1- 佐々宝砂自由詩4+*24-6-10
閃篇5_そのさん- 佐々宝砂自由詩424-6-10
梅雨の晴れ間に- 佐々宝砂自由詩524-6-9
アルビノ- 佐々宝砂自由詩721-3-17
世界の破壊者- 佐々宝砂自由詩320-11-11
おまえが生まれた年に- 佐々宝砂自由詩2*16-3-11
痒い夜- 佐々宝砂自由詩9*14-8-18

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