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彼らは死に慣れてしまった。だが
校庭で炊いた焚火に身体を当て、燃え上がる
湿った潮風が鼻を擽る中で心が揺れた時、死そのものが、
何故生きているのか問い掛けてくる。彼らは死に祈りを捧げた、
....
かいすいのなかのつぶは
ひとつとしておぼれてはいない
小さな子供が、星の矢に射られ、
浜辺の町の大人が、
空を向いて祈り始めた、
(その間にも子供の胸は砕かれ、
背 ....
わたしはもう本当に眠りたいんです。お母さん、あなたはまだ湿った布団で眠っていますか。えいえんを手放してしまいました。えいえんが狭すぎるから。血を流さなくても痛いのに血の流れる描写だけが流れていきます。 ....
土は乾いていて、サラサラと。
女の手より柔らかい風が、表面を削っていた。
粒と粒が懸命に腕組みをしている。
もう少し湿った深い所は、虫の墓場であった。
背中を下にして、動いているカナブン、
....
トンネルを走る車が
滲んでは跳ねかえりながら
そこに胎動を生み出しては
ただ次々に表れる安堵
耳はそれだけを聞いていたい
反響したエンジンの音が
体の端にしがみついている
臍から ....
眠る隣人、
或は起きている隣人、
大体は同じように生きて、
人間を取り巻いた朝が、
いよいよ始まる
もっとも盲目的な自由へ
順番に抜けていく魂、
もの言うことなく開かれた
濃厚とさえ呼 ....
ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に
光る原っぱ飛ばずにおいで
ズーズクズーズ
ズーズクズーズ
ズーズクズーズと鳴く夜に
沈まぬ池から昇っておいで
....
パンツの上から
下半身の匂いを嗅いで
一日の終わりを
ゆっくりと感じるのでした
仁王立ちの尻に押し付けられ
わざと熱くなるように
息をかけてやります
まるでケロロ軍曹のような尻は
....
私は流木だった
唇の皹の上に小鳥がとまり
眠っている瞳を開けようと歌う
そして愛着のある皮膚を
剥ぎ取っていってしまう
もうわたしではない唇
しがみつく砂の粒を
数えているところだっ ....
この海
この冬の海
あの時は夏の海
友人の死を悲しむまま
私の真夜中に車が走って行った
ヤンキーと私たちだけが
盆の海の駐車場に座っていた
彼女だけは遠くを見るように
立ったま ....
ゆれうごいては
もがいていた死人が
たしかにわたしだった
となりでふるえているだれかが
だれなのかさえしれない
くるしい、
くるしいとうなだれて
はげしくおうとした
なつのあつさがじり ....
ふらふらした夏が
わたしのもとから去るのが
非道く恐ろしかった
土下座をしても
夏はここに居座るでもなく
まさかそれで
わたしは土下座もできず
真上に吐いた唾にあたる
まぬけなもの ....
匂いで誰なのか解るから
目をつむってでも歩ける街中を
ふらつきながら皆で歩いて
出来損ないのボツコレが集まっては
それぞれに
それぞれに煙草を吸うから
誰がどいつだか
解らなくな ....
燃えはじめていた曲線が
少しずつぶれ
カーブでころっと転倒した原付き
キョトンと路上に突っ伏して
ケラケラ笑っていられた
小遣い程度の稼ぎを握りしめて
水が欲しいと騒いでいた
夜 ....
祖先の祟りが身体の中で眠っている。彼らを眠らせるために薬を飲み、その副作用で唾液を口に溜め込みながら、草原のなかに立たされている。草原はホテルの隙間に現れる、古い虚構の中に置かれた、アメリカの地雷 ....