すべてのおすすめ
花で飾られた墓地は
東京のようにさみしく
思い出は
人と人との間にはいない
誰のものともつかずにひとり
野ざらしでいて美しい
見ず知らずの人に会釈をして
道を譲ると
僕はひとり ....
商店街を抜けて駅へ向かう
汗は乾かずに流れる
フルーツパーラーミヤコの文字
よく
祖母とクリームあんみつを食べた
窓際の席で
本当はチョコレートパフェが食べたいと思いながら
頬杖をつ ....
何色のスカートで羽が開くのか
ぬかるんだ睫毛に虹が掛かる
あの日からもうずっと君を見ない
エム、
午後九時
決まって木槌が目に付いて
隣室ではジャズのボリュームが上がる
*
....
うすべにいろの水を湛えた浴槽に浮かぶ君の肌から
剥がれ落ちていくはなびらを拾い集めるうろこのない蛇は
白く汚れた脈打つ肌を隠すように染めた恥じらいの色を
閉じた瞼から滲んだ泡のまるいかたちを覚え ....