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金魚鉢に金魚
上から覗き込むと金魚
胸鰭を動かし
尾鰭を動かし
背鰭を動かし
何となく静止する金魚よ。

夏だけ生きている金魚
ほんの数リットルの水に漂う金魚
横から観ると大きく見え ....
風は丘を越えて吹いている
丘を覆い尽くす向日葵は
風に吹かれていくらか首を傾げ
黄色い丸顔を撫ぜる風

道の下は荒れ地
昔昔その昔
そこは大きな畑 だった
広大な綿花畑 だった
コッ ....
ひょいと見ると出窓の内側で
そいつはいつものように
出窓に置いてある
真空管式の古いラジオに
じっと耳を傾ける
ビクターの犬のようだが
そいつは黒猫だ

出窓からは朝の港町の風景が広が ....
ピリピリとした緊張感
ジリジリとした外気圧
タラタラと落ちる
粘度の高い汗
ズブズブ沈み込む
液状化したアスファルト
ユラユラと揺らめく
水蒸気の先の遠景は
妖怪の吐く息 蜃気楼
 ....
俺達の言葉は
射程を持たぬ(山本太郎「行方不明の言葉」から)

詩は
言葉の意味が
無限定に使われて過ぎている。

しかし、
僕は詩を書く。仕事の合間
苦しみ楽しみある時は

 ....
私という人見知りは
背中にうっすらとした黄金の体毛と
頭部に後光が輝くよう
分け目の間に鏡を置いた
ギミックがすこぶる付きの生物なので
東京近郊の動物園から
引く手数多なのだけれども
 ....
遠い昔の縄文の
汚物の塚を保存する
歴史保存の尊さか
ヒマラヤ杉に隠された
世界規模の気候変動
遮光土器は本当に
差し込む闇が横一線



土塊(つちくれ)の中から捻り(ひねり)出 ....
いうならば
生きるということは
世間に向かって眼を開き
自分の矮小さを自覚することだ
そうだ。だからみんなびっくりする
自分が本当に小さいことを


だから僕は酒を呑んで
へべれけに ....
歩いている。
あてもなく歩いている。
すっからかんの着のみ着のままで
歩いている。

足下には星屑が輝き
頭上には異様に大きな月が
幾つものクレーターを見せて
垂れ下がっている。

 ....
山奥の名所旧跡の傍ら
誇りを失ったゲージの中の鳶
胡乱な眼で見物人を眺める
その眷属と同じ記憶を追いながら



丘を越えて吹いてくるそよ風
丘を覆い尽くした向日葵は
風にそよいで小 ....
川の流れは清冽
岩に激突した飛沫の中
一服の涼を見るが

飛翔する山鳥
容姿は狡猾で
空腹を満たそうと
水中の魚群を窺う

山猫もまた、
山鳥を捕獲しようと
首擡(もた)げ見上げ ....
ところで、彼の結婚式なのだが、
参列者は三,四人か
披露宴をどうするか
めでたい宴の陰に
猫の眼のような
光を帯びたクレパスが
ぱっくり口を開けている。

皆口々にお祝いを言い
いく ....
夜が辺(あた)りの色を奪うとき
灰色の濃淡だけの風景の中
独り佇み窓の外
悲しみだけの夜道を歩き
とぼとぼ何処へか歩き出し、

夜が心も奪うとき
沈む気持ちのその先に
灯りがぼーっと点 ....
五月の空といいながら
空はどんより鈍色で
雲と空の境は淡く
地平線は黄砂に吹かれ
やはり視界の球体の内部
己の認識世界の端と端が
すべて曖昧な灰色グラデーション

その球体の中を
て ....
長く歩いてくると
道に落ちているゴミの類い

しがらみという糸屑や
負い目というガムの滓
義理という不燃物
扶養義務って言う海綿動物の亡骸

みんなすねに絡み付いて
どうにもこうにも ....
仕事帰りに街を歩けば
赤い灯青い灯夕闇を照らす。

裏通り馴染みの
一杯飲み屋に
そこに
今日を捨てに行く。

そこでぼくは
ひたすら喋りながら
呑み続ける。そしたら
なんだか偉 ....
いまさらオーネットコールマン

意味不明の言葉の羅列が
たくさんの誤解を招き
バイト先の立ち食い蕎麦屋のカウンターのように
汁にまみれRu

言葉の羅列に色はないが
汁にまみれていたの ....
青空に大きなマルを書いてみた。
その中心に自分がいて
その周辺に家族がいて
ぽっかりとした雲には願いが乗って
ふわりふわりと流れて行く

野原に寝転び
雲を眺めていたら
悲しいことや
 ....
朝から酒を飲んでいる
涙をこぼして飲んでいる
都会の空地の駐車場
道行く人は見ない振り
電信柱のゴミの横
フェンスの縁に片手掛け
地べたに座り飲んでいる
通勤客は足早に
見て見ぬふりの ....
歪みを補正しようと
身震いした球体の表層に付着した
病原体のような存在が
界面活性剤に流され
漂う芥となり
大洋に流れ出す時
芥に染み付いた

悲しみと喜びと
誇りと落胆と
憎悪と ....
たった一つの言葉が言いたくて
書き始めた詩が
僕の手を離れて宙に浮かぶ

こんな筈では無かったと
何回も書き足して
つなぎ止めようとしたが
ますます詩は僕の部屋中に拡散し
言いたかった ....
風が涙を後ろに吹き飛ばしてくれるよう
顔を切り裂くような冷たい北風に顔を向けて
身体をつんのめるようにして歩き出す。
冬の並木道は魚の骨のような街路樹と
銀色に輝くアスファルトの路面が光って
 ....
曇り空の夕陽は
やけに朱色の粉っぽくて
窓から見える景色が
変にくすんでいます。
日がな一日床に入って
分かりもしない本を読んだり、
他人の不幸の報道を
リバイサンから御裾分けしてもらっ ....
跡形もなく過ぎ去った過去は
過去の栄光ではなく日常のホームドラマで
思いやりのある家族とお節介な隣人
歴史好きの親父とミーハーな娘
東京に行きたくて
髪の毛を染めたキャサリン
着ている ....
空の途中の領域
中途半端な浮遊感と一緒に
風を翼に受け
停止したまま浮遊する
彼だけができる芸当

地上を常に意識する狩人は
樹木の枝葉の間から
    見え隠れする野鼠ほどの小動 ....
 歩き始めの段階、道は同じ眺めのため選択間違いはよくあるのですが、間違いだと気づいても引き返す勇気がないため、どんどん先へ行ってますます道に迷ってしまうことがあります。特に最初選択した道が平坦で歩きや .... 学習ノートの裏表紙
鉛筆手書きの宝島
包装紙の海図を持って
君はダンディ、僕 博士
太っちょガバチョを従えて
駄菓子屋で買った黄粉飴
カバンに入れて粉だらけ
黄粉に塗れた三人の
宝探し ....
荒川の河川敷 土手の下に
古ぼけた木造アパート
モルタル塗らしかった壁の
モルタルは剥がれ落ち
グレーの下地に
枯れてしまった
蔦のツルがへばり付いている

空き家のようだが
夕暮れ ....
その褐色の巨人は
毛髪からエレキを放電し
異様な叫び声を上げたり
心を揺さぶる言葉を呟き

その褐色の巨人は
無骨な太い指で
楽器の喉元を押さえ
楽器の内臓を掻き毟って
悲鳴を上げさ ....
 郊外電車の車窓から夕暮れの開発地が見える。電車はあるときは半地下に潜り、あるときは高架線となり、田園地帯を我が物顔に走る。路線の駅に会わせて区画整理された街並みは美しいが、ほんの数百メートル移動 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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月夜- ……とあ ...自由詩16*11-6-27
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彼者誰時(かわだれどき)2- ……とあ ...自由詩911-5-15
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