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誰にも知られてはならない
耳をそばだてて
この地面の奥深くには
川のように赤い血が流れていて
少女だけがその流れる音を
聞くことができるのです
でも聞き続けていてはいけません
自 ....
浅皿を覆うよどんだ水面は
つい今しがたまで命があったのです
それは固形物に味を与えていました
役割を終えて今にも
捨てられようとしているのです
いつ命が失われたのでしょう
それは最後の ....
もう終わりなのだと
言われても
私という人間は
顔では笑っています
それはとりあえず
同意の笑いです
あなたとの関係を
壊さないための笑い
すぐに終わるわけでは
ないのですから
....
深い森の中に鉄路が走り
群青色の電車が
静かに進んでゆきます
鳥のさえずりを
消さないように
私は食堂車にいて
甘い紅茶をすすりながら
ゆっくりと流れてゆく
外の景色を見て
鳥た ....
拒絶したいものが
多すぎたのです
もはや茎は弱り
棘は何をも
突き刺すことが
できないのです
それでも薔薇は咲いています
誰もその手に触れられないという
誇りの欠片を最後まで持って ....
むかしむかし
あなたと私の
鳥の骨のような関係が
ありました
肉はもうとっくに
誰かに与えてしまって
白い骨格だけが
残っているのです
飛翔の予感を秘めて
飛翔の過去を秘めて ....