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たったひとつ
ねがいを
きいてくれるというのなら
わたしが生まれる日に
むかえにきてください
病院から
おおきな荷物と
見慣れぬ我が子を
抱えていく
母の
かえりみ ....
もう夏の野菜たちを食べている
君たちを育ててきた人は
どんなふうに思うだろうか
皮を剥かれて
切られたり叩かれたりして
木のまな板の上で
内側まであばかれる
まだ初夏なのに、ね
....
私は人の顔が覚えられないんだ
そう君が言った
昨日もずっと一緒にいて
仕事でも部署は違うけど
3年間顔を合わせていたよね
だけど、あなたを思い出す時
最初に出てくるのは ....
わたしのとういところをみぞれがながれていった
かこがかこらしいままかせきになり
結晶とわたしが
まったくおんなじそんざいになった
いつかひかるものとしてあつかわれる
幻の火にてらされ ....
まつげはひかるけれど、それはあなたの水ではない
雨あがりのドライアイは
公園の風景を
焼きつけるしずかな鉱石のように
まばたきをしない
「むかし、どこにいきたかったのかとか、
ほんとうに ....
ある傾斜においてうつむくのでなく
あたまならがっくりと
垂らすせいで
きみの、
頸椎が
くらい空にすっかりひえてむけてしまい
きみの視ないものにちゃんとかぞえられる
都心から二時 ....
えりという名前の女の子が、初めて海水浴に連れて行ってもらって
海の大きさにいたく感動して、ひとしきり大はしゃぎしたけど
夕方になると、帰らなければならないことが悲しくて
そのへんに落ちていた棒き ....
小人が乗用のために
農地のミツバチを盗み出して
長いことドライブを楽しんだ後に
今さらながらそのことを悔やんで
思い出したように坂を下る
今さらなのにそのことを悔やんで
死なない薬を一粒飲 ....
きみの柔らかい生き物を
毎晩夢に見る
わたしの柔らかい生き物を
かつて沼だった土地に放した
放物線を描いて
慎ましい身なりを合言葉に一斉に種弾く
それからの手記
それからの鐘の音
きみ ....
ケイティ、クリスティ、それからローラは仲良しの三人組だ。
ケイティとクリスティは二人とも変てこに曲がりくねって
串も通らないトウモロコシのひげみたいな髪の毛に、そろって
そばかす顔のさえない女の ....
濡れている、半
分の
生きていると、
半分の、死んでいる
濡れている、
床に
横たわって、死んでいる
いない、
濡れていない、
生きていない、
死んでいない、
....
潜み、また
ここで、
断絶した線路の、先
なかった、ここでまた、いいえ、
いいえ、水が
漏れていたの、ここで、
潜み、また、
尖っているもの、行け、
見て、しろ、
できな ....
車のなか
で聴いていた、
誰かの死、
誰でも
ないものの、死
暗い
雪道、歩いていたのか、
走っていたのか、
わたし
たちを
運んでいくものもまた、死んで、
いた ....
明け方、10人目の被害者が見付かった。
大雪で逃げ場のないホテルで、人々は各々の恐怖と
寒さに震えながら戦っていた。
10人目の被害者の名前は、坂上圭子。
ホテルにスキー合宿で来ていた女子大生 ....
口を開けてテレビを見ている時に
突然のお知らせ
わたしに家族が増えました
わたしに家族が増えました
大事なことだから、2度言いました
ヨン様がこちらを見つめて微笑んで
「家族の ....
autos
の、暗い
神から
分離された、半分の
もの、くだけたものが
結集して、
きみが口に
する、これは
きみの身体である、雪に
覆われた、潜み
お前の彼女と週2でセックス
保土ヶ谷区のトラベルロッジで
お前の彼女と週2でセックス
誠実さが自分の長所だって
自己ピーアールに書いてた俺
でもそうは思えませんよねだなんて
お前が俺を圧迫 ....
点々と染みのような息を散らしながら歩いている
大げさな心臓に塩でもかけてやりたいと思い逸らしたのは目だけ
「なにか得ないと生きていけないなんて馬鹿げてる」
親指を握るのはほんとうに四本の指 ....
そして雨が降りましたほんの少し
風にちって
睫毛も濡れないくらいだったけれど
指先を針で刺したような気分で歩いた
すごくひとり
どこまでも滲むくせにまざりたがらない
こんなから ....
死者たちが投げつけてくる
雪片、昨日と
よばれるもの
のように、わたしは遅れ
ている、写真の
写真の写
真のきみ、死者の─
雪片。
息絶えていくものに通じている
雪の
におい、冷光。
きみたちはもう
立っていない、
これまでの歳月、ひとつの
ことばと
それに
つけくわえられるもう
ひとつのことば。 ....
終わりにむかって
死んでいく、
雪夜
沈んでいく暗闇の底から、すべての
孤独から切り離されて、雪夜
例えば地に足が着地したとして
曇り空と背の高い建物の間に
そっと手を差し入れることもできるし
湿っぽいから霧を出してもいいし
花のように丸くなることもできる
後悔はな ....
声とは
思えない、そのような
声。
響き、
沈黙の、
うたえる
歌が、あるのは
むこう、
声じゃない
声、
の
かなたが
電話をかけてきて、
....
いのしし見張り師の朝は早い。
いのししより先に目覚めなければいのししは
逃げてしまうからだ。。
まだ薄暗い山麓の傾斜地をいのししの柵めがけて
歩き始めるいのしし見張り師。
いのししの柵は5メ ....
主人公「なってやるぜ、勇者ってやつにな!」
村人「目玉が弱点っぽいモンスターが暴れてる!」
武道家「理由は言えないけどここでセーブして行け!」
戦士「キーアイテムとは知らずに持ってきててよかった ....
きみの見るものは
すぐさま
毀されて、光があった、光が
あった、光
ただそれだけが
あった
よく見知った鳥たちの
生まれる音が遠くから
ここまで
骨がぶつかり合っているようにも思える
低い腰つきと
正確な手さばきで
つぎつぎと収穫されていった
ばんざい 収穫だ
ばんざい 越冬 ....
「これであんたは終わりだよ。言い残す事は?」
「殺さないで下さい!あと好きです付き合ってください!」
「図々しい!」
「カニも食べたい」
僕の考えた妖怪
妖怪助けてー
肩から上しかない妖怪。
浅瀬で助けを求める。肩から上しか見えないので、川が深いと思って
助けに飛び込んだ人が顔面を強打して死ぬとその肉をむさぼる。
善意に ....
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