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骨を押しつぶす音が聞こえた
あれは傷つける音だ
あれは私を悲しませて、悼ませる音だ
あんな音は聞いてはいけない と
耳を塞いだ
自分か 娘か 迷って、娘の耳を塞いだ
嗚咽 ....
厚く垂れ込めた雲の上に
もうひとつ、血色に染まった鮮やかな雲が
たなびいているのを
私は知らない
知らないままに見えないままに
鍵を開けて
ただいま
散らかった部屋
私と家族で ....
随分と前に上演は終わっていた
ビラビラと焼ききれたフィルムが背後で回って
煙を上げる端くれをクロールするように回転させながら
真っ白い幕には無数の砂粒が踊る
{引用=(お楽しみ ....
君の人差し指と親指には一筋の花の茎
梔の香りが一斉に私の鼻をついた
茶色く錆びた真珠色
梔では月並みだからグロリオサにしたんだよ、と
差し出された指先と
指先からひとつづきになった花 ....