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車窓の光速が
わたしたちに注いでは剥離して
ガタンゴトン
一枚残らず後方へと失踪する
朝はいつも同じ方向への目眩だ
通過駅をことごとく踏み外す その
転落音 ....
雨つぶに擬態して空からやってくる
ひとつひとつを
見逃してはならない
空想がはなはだしいので
傘を置いてきた
今頃は線路をたどったどこかで
だれかのものになっている
夏の身体はよ ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい
足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
夜更かしの羊飼いは大層身軽で
わたしの寝室へ夢のように舞い降りては
夜毎数字をひっくり返す
空がまるで海なのよ
わたしはちぎれながら泳ぐ
よれた真夜中を
雨に打たれるカラス ....
からからに吹いた笛のさきに
荒地と耕地が立ちすくんでいる
とまれ ベドウィンが考えるのはただ
昨日牛を売らなくてもよかった という
後悔に似て非なる かん/そうでしかない
聞いたことのな ....
昨日
滅びていく愛が
冬の名残の夕日のように
山脈を焦がした
山の向こう
いつか
わたしもあなたも
あの夕日を追って
そこへ行くのか ....
*灯台
かすかにまだ
光っている
間違えたままの、
やさしい思い出
わたしの幸福な思い違いを
あなたは
そのままにしてしまったから
....
底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....