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いちじくは
花を 外に 開かない
いちじくは
内側に無数の花をつけ
やわはだの秘密を 隠し持つ
ある日
たったひとつの いちじくの実に
たった一匹の 蜂が来た
....
信じなくていい
涙で帳のおりた夜
そんな夜は、信じなくていい
ケサランパサランを しってるかい
ちいさなちいさな生き物だよ
一ミリにもみたない 綿のような身体をしていて
不思議に妖力をもった生き物なのさ
人の心のやさしさにふれながら しだいに ....
よなかに こねこが ないて
どこかとおい よびかけのよう
しずかに
開く扉
こころ うもらないなら もう ろここ
こ
ろ
軽んじてゐた 薫 ....
みずいろの雨をききながら床に入ると、雨がふる
ぽっかり空いた穴を補完するように、雨がふる
決して満ちることはないんだけど、それでも雨がふる
*YouTube み ....
深夜2時
透明な夜
水の中にひとつの石
落ちて。
静かな音
眠れない
眠りたくない
夜。
死にたくはない。ただどうやって生きていけばいいのか
わからん。
なんか、
....
【記憶の塩漬け】
すべての壁は白い それぞれの壁が白さの中にも蔭を落し
直線で構成された 迷路
一陣の風がふいて 一粒一粒の白砂が
皺やよじれとなり集まり
....
雨は平等に降りしきる
あなたにも、わたしにも、
だけど、わたしには傘がない
宇宙を 黙読しつづけて
何万回死んだかしれない
こむすめコスメ ポーチから
四方八方に轟く その呻き
きょうは
おとなしい おくさま風
おとなしいおくさま
おとなし ....
羽矢と霧矢は まゆみの木を みずからの眼力で選び
切り落とし弓と成し、その矢を射る。
深い霧の中に 白百合が群生している
この村には いまは おなごしかおらんけんど さすけね
....
嵐の日 雷が空気をゆらして
瞼をとじても 光がときより私をゆさぶるの
わたしの心にあった 汚いものの
沈殿させる濁った想いを
荒々しい雨風が 洗い流してくれる気がする
今日みた ....
【飛行模型】
露草の花は ひかりをうけて翼のようだから
おだやかな 面もちで 飛び石を踏み外さないように歩く
縁側で 竹ひごが 飛行機雲のように しなやかにのびている
そのなかでも ....
無期限激務
うたうたう るるりららりるる うたうたう
意外や意外。
第千巻完成だ
だいせんかんかんせいだ
いがいやいがい
うたうたう るるり ....
いきかがり上
この焼けつくアスファルトを 歩かねば なりません
せみしぐれは しずかです
電気屋の扇風機売り場の せみしぐれとは ちがって
緑の影から にわかに飛び立った 蝉の翼の ....
しろく しかくい たてものの中から かわいた無数の命の声がするのを
しずめるかのような噴水
しろさ きわだつ 広島平和記念資料館を想いながら
床についてみた夢は
しろい塩で できた ....
雨が硝子を 舐めるので
時間すら 舐めまわすので
歩くことの意味や 進むことの意味も舐めるので
この世界には もう 紫陽花しかありません
飴細工のように 雨に舐められて
窓の向こう ....
手をつなごうか
心をつなごうか
ねっ
食べのこしのビスケット
ちょうちょ
黄色信号
音楽
日々は
燃え尽きながら色付いていった
やけどの痕を
後生大事に隠しているあなたを
わたしは
愛する
*壱*マダナイへの手紙
「あの猫の名前はマダナイっていうんだ」と、教えてくれた人がいた。
ああ うわさは聞いたことがある。
明治の文豪の家に 飼われていたという 噂だった。 ....
「ロケ地が このビルなんてさ」
ドラマのロケ地で実際に働く 女性は女優ではない
朝6時入室 入室ご蛍光灯スイッチをすべてON
17時 続々と「おつかれ」とか言い合い
ド ....
琴線に触れた映像作品を
思い浮かべれば
ここのところ韓国のものが
群を抜いている
商戦に踊らされている
わけではない
内容なのだ
善と悪が入り組んだ
一筋縄ではいかない世界 ....
休日のメガロポリスの朝
天空にぐっとくい込むように
コンクリート製の棘として
何本もの電柱が太陽の眩しさに突き刺さろうかと
悲しく立ち尽くしている
アパートの小さなテレビの天気予報は先月にな ....
「うでまくらして」
と、ねだったら
「どうしたの?」って
笑いながら
うでまくら
髪の毛くしゃっと撫でる
「怖くなって
甘えたくてだから…」
....
三輪車を 逆さにして
サドルを ペタンと地面に つけて
ペダルを おててでくるくるまわしながら
もうひとつの おててで 車輪に砂をかけて
しばらく くるくるまわして 突然叫ぶ
「ど ....
焼き芋売りのおじさんが
自慢の芋を 「新聞に包むんが一番 うまいんだ」とか
「栗より甘いよ ほら十三里だよ」と渡してくれて
九里たす四里で 十三里なんだよ とか なんのこっちゃか解らんこと ....
知らん間にこわがりになってもうてたわ
しゃぁないやんって、言うてぇや
なぁ、なぁ、言うてぇや
なにも 間違えじゃあなかった
自転車とは 自分で ころぶから自転車
自転車の練習をして みごとに こけたのは わざと だよ
わざと 痛い目にあってみただけさ
新しく自転車を買って その ....
Tell a lie
Tell a lie for me
At the very least, only tonight
【 桜の散った街を往く 】
立ち止まるしかない 踏切では
たちどころに 遮断機がおりて
多くの人の思いが 通り過ぎる
伝えようとした言葉が
伝えられないときは
立ち止ま ....
みずのうえを あるかないか
あるかないか さくらのはなびら
あるかないか おがわに あめんぼ
あるかないか かわぞこに 波紋をゆらす
ゆらさないか あかん ....
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