すべてのおすすめ
ぼくは
どくしん
さいしなし
だから家族について息子の立場でしか語ることが出来ない
家族の間ではお互いの事について案外何も知らなすぎていたりする
母親は耳が遠い
46時中音 ....
みかんをむいて父に食べさせると
ぼくはみかんではないのに
お礼を言われた
咳をするしぐさが
父とぼくは良く似ていた
植物に無関心なところも
石鹸で洗う指先の先端の形も
他 ....
あなたの頭蓋骨を、かき抱く
この胸に熱く
柔らかな髪に包まれた後頭骨に
私の上腕骨を回して
冷たい額の向こうの前頭骨に、頬骨を寄せる
あなたが考えていることが、私の心に伝わってくる
....
家出少女がピンクの小さなリュックをロッカーに。
少し思い詰めた顔で化粧を直して笑顔を作って。
100円が ちゃりん と音を立てて吸い込まれる。
胸ポケットに鍵をしまったらどこかに電話を甘えた ....
好きなひとに甘えられるとかわいいと思う
ふつうのひとに甘えられると
どうしたらいいのか分からなくなると思う
秋の空ではなかった
つめたい風に春が匂った
頬を耳をそよう ....
あなたがおもうほど私
不幸に育っていないから
私を不幸な子だと呼ぶのは
やめてください おかあさん
あなたがかんがえるほど姉は
困ってなどいないから
知恵が遅れていると
泣かないでく ....
中二のとき家出をした
ぼくはすこし複雑な環境にいた
遠い親戚が経営している病院の
ぼくは病室をあてがわれて住んでいた
妹にはその隣があてがわれていた
病院の四階が院長夫婦 ....
{引用=今までどうしても言葉にできなかった
いつだってそれは眩しさと悲しみのイメージで立ち表れてくるし
僕の言葉はただ、その名から溢れ出るしかないものだから
それでも今日僕は綴る
....
傘のない世界で
きみに傘の話をしている
小さなバス停に並ぶ他の人たちも
そぼ降る雨に濡れて
皆寒そうにしている
ぼくは傘の話をする
その機能を
その形状を
その色や柄の ....
「ほんとの自分は」っていう人が苦手です
そんなものはペルソナを知らないだけにすぎなくて
だからって知ってることはなにもそんなに偉くない
「あいしてる」って声高にいう人が苦手です
そう思 ....
こんにちはさよなら きっとまた会おう
君がそれをまだ信じてるなら なんて切ない
灰色の木洩れ日 小さな湖
手を振って笑って
次はいつどこで会うかわからない それが素敵
思うようにうまく歩けな ....
春の雨が降る
アスファルトが匂いたつ
雨があがる
すこし唐突に星が散っている
湿気が鼻にかさなっている
風が目のまえを撫でては消える
きのう
エロい夜だっ ....
週末、定期的に届く招待状はまるで
光年先の異星からやって来る奇妙な使者のよう
青い光
目視を拒まれた、
太陽と月の錬金術
十六夜の月を鏡に、
くちびるには薄い紅 ....
もずく酢しかない部屋できみは
なくならないもずく酢を
ただひたすら食べ続けている
そんなきみの背中を掻いてあげたいのに
きみには掻くべき背中がない
それよりも前に
ぼくは夕 ....
ラーメン屋の湯気の中で
二人で未来を語っていた時から
おまえは何時(いつ)も ずれた視線をしていた。
駿河台の坂を上って行く途中
ヒラヒラと雪が降り始め
俺には寒かったが
おまえは ....
ピンクと灰色とブルーが混じり合って
あたりがもうすみれ色になっていた
春にちかい風が吹いた
LEDほどのつめたさが鼻を撫でた
きょうの天気がなんであったのか
わからなくな ....
朝一番に窓を開けると真っ白に吹雪いていた
時が流れるにつれて徐々に雨へと変化して
暮れる頃にはそれさえもあがっていた
駅の改札を抜けて家路につく
空には呑気に星がちらついていて
コー ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す
*
さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
今日もまた音楽を聴きながら朝の身支度をする 九十年代末に流行ったUnderWorldというテクノバンドのBorn Slippy(NUxx)という曲が流れている 「Second Toughest In ....
恥ずかしい生命
僕はこれから全ての季節を殺しに行く
ようやく開いた花弁を
飛び交う鳥の嘴や羽根を
丁寧に剥ぎ時には乱暴に毟り取る
地面を這う影を燃やし
壁に貼られたポスターを破り
....
1 ピアノ
誰もいない地平で
黒いこども達が踊っている
輪になって
誰もいない地平で
黒いこども達が歌っている
よその国の歌を
どこに置き忘れたのか ....
空想を語りつぎ
今はただ虚無でしかない
物語りはかなりの頻度で
涙をながした
ありとあらゆるもの全てに
意味があるけれど
時代がすすみにつれて
その意味がうす ....
天空の青はただ、孤独のいろ
神秘の源泉より切り出された青い石は
月の砂漠を揺られ、世界を支える山脈に沈む夕陽を眺め、
地中海を越え、さらに遠い国々に運ばれるためにある
....
地球と太陽の
その絶妙な位置関係は
引き合うチカラで出来ている
俺とおまえのそれが
この宇宙の法則のうちにないのは
いったいなぜだろう
俺たちに働いているチカラ ....
ガラガラか
もしくは ぐあらぐあら かもしれない老人の
荒れた咳払いがする
すすけた匂いがする
ここは 老人の街
若者は ばかものだなんておっさんが言い
しにかけって よばれているのも ....
夕方はカラスが泣く
夜は犬が泣く
家ではきみが幸せで
家族とスキー旅行の計画をたて
休みには妹とブランチの約束をする
カラスも犬も昔から
ひとりごとなど言わない ....
どうせなら木っ端微塵に
影も形もなくしてしまって
幻想に揺すぶられずにいられるように
手前勝手な妄想が記憶の隅をくすぐって
わたしの足を止めるのだ
手前勝手な ....
にんげんの主食はにんげんです
人を食って生き延びています
にんげんはにんげんを探し
食うために挑んでいきます
たまに気に入って
持ち歩いたり
数回に分けて食べたりします
飽きたら ....
おうちに帰るまでが遠足だから、って
遠足ってなんだろう
人生とは遠足のようなものだ、
と決めつけてしまうのはダメかな
おうちに帰るとなにが終わるんだろう
遠足か、
....
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
育てられなかった実の娘の身代わりなの?
自分の老後の面倒をみてほしかったの?
ねえ お母さん
なんで私を育てたの?
あなたの笑顔が可愛かっ ....
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