どうかリラックスして
痛みを増やさないでね
白いイルカに乗って
深海に潜ってゆき
不安や恐怖は
溶けてゆく
そんな気持ちに
どうぞな ....
春がやさしく微笑むと
白く積もった嘘が融け
ぬかるんだわたしの心を
悲しい泥水となって流れ下る
ひび割れたアスファルトの肋骨
空に頭を踏まれたままの道あるいは時間か
仰向けに開いた記 ....
【カタツムリの抜け殻】
実家には もう人の気配は無い
生気のない 家に行くには 迂回路しかなく
すぐそこに家はあるのに ふるい路は
家を まの当たりにしていながら ゆるやかに曲がり ....
銀紙をくしゃくしゃに丸めたあとで
拡げたみたい
海面で瞬く無数のさざ波が
煩い
雲から
スポットライトが注ぐ
見えるはずないステージが
現れ
翳む
ぼやける
ぶれる
沈み ....
雪解けの時を待った
土を食べたくて
小さなシャベル片手に
まっすぐ真白い粉塊の一点めがけ
(吸い込まれる)
くらいに感じてくれたらいいな
そんな気持ちの柔らかさで
....
水平線が欲しいと泣いた
混ざらぬふたつが眩しすぎ
泣くしかなかった
空は碧に準じて深すぎて
....
眼を開けると
ほかに乗客はいなかった
確かめたはずが
行き先を思い出せない
どこから乗り
どれだけ乗っているのかも
東側の山のふもとだけ
西日が射し込んで赤い
バスは進 ....
明日へ戻っていくだろう
昨日見た夢も
明日に久しく見る為のもの
今日起こった事は
何ものもなく明日見る夢
うたかたのそれも
まさしく現実のそれらも
明日に見る久しくもある形なき形 ....
東の空にいつの間にか、オレンジ色した淡い月がでていた。
「あ……、もう、こんな時間だから、お家に帰りましょうか。」
やだっ、そんなの、ずるい!
「外山先生……、わたしどうしても、もういち ....
人からたまに言われるさ。
「いつも楽しそうですね」
「ちゃんとしててすごいですね」
「きれいにしてて素敵ですね」
・・・etc.
もうちょっと近づいて、よく見てご ....
ほんの小さな子どもだった
たぶん五歳くらいだと思う
私は明確な意思を持って
嘘をついたことがある
――お母さんの背中だった
月が出ていた
星も見える
風はとても冷たい
凍てつ ....
いい格好しなくていい
むしろ
ちゃんとしているとつまらない
ちゃんとしない人生を生きる勇気はないけれど
せめて
目も口も鼻も
とんでもなく
へんてこにしたれ
おかしくしたれ
ぶっちぎ ....
冬がくると悲しくなる
きっと悲しくさせる要素が多いから。
雪原にぽつりと立ち竦んだ自分を想像するだけで、不安になる。
この町はわりと豪雪地帯で、
ドカドカ雪がふる。
朝になるとつもっ ....
冬の夜
出せもしない 恋文をしたためて
スキデス アイシテイマス
どれも違う
そうじゃない
ただ
胸のまんなかに まぁるく空いた穴
そこに
あなたが ぬ ....
わたしはねこ
あなたの脇のした 或いは
ストーブと向きあって 眠りたい
わたしは陽だまり
あなたが苦しくなったとき
そっと寄り添わせてほしい
わたしは鳩
平和なん ....
ねぇ 触れてもいいですか
まぼろしに 呼びかけて
指先が じんじんと しびれる
ねぇ 触れてもいいですか
狂おしく
ただ 呆然と 泣く
爪の先に 熱く 火がともるよ ....
人生は夢と覚醒の繰り返し
夢は無価値、
覚醒時こそ人生だ
等と大人の戯言
誰が決められる?
人生
夢と覚醒の繰り返し
同等同価
なにを言いたい?
夢は狂いのさなか
....
高層窓には
飼い馴らされた
セレモニー
夜毎
あどけない肯定が
滑らかになる
背筋は
かたいまま
柔らかな囲いは
重たくなって
屋上 ....
あなたには
笑わせたい 人は いますか
笑わせたいひと と
笑いあって いますか
笑わせたい はずなのに
泣かせては いませんか
笑いあった そのあとで
にじむ 涙の 話なら ....
輝くもの
それは君のその命
今一瞬の君
ずっとずっと永遠に輝いていて欲しい
いつか誰かに心から愛されてそうして家族を作ってくれたらいい
君がこれからすることはもっともっと ....
子どもが笑う
それがすべてだ
泣いている
理由はさまざま
見つけて
取りのぞいて
満たして
抱き締めて
温かい布団と
美味しいご飯と
安らかな心地を
子どもが笑う
....
大通りを一本奥へはいった
ラーメン屋の先の三叉路の角っこに
その八百屋はあるんだ
狭い軒先に段ボールが並べられ
曲がったキュウリや
太さも大きさもまち ....
耳を障る青
君を貫く絶頂
零敗した指先
誰かを欺いている
自由はいつも鎖に繋がれていて
自分勝手な覚醒のあと
ひとりぼっちで解放された
遥か遥かのおとぎ話は
誰かの ....
己が一番美しい時に
化粧を覚えた少女は
素の顔を誰にも見せぬまま
女となり
老女となり
やがて
横たわる冷たい屍となる
その顔に
再び恭しく施される
化の粧
唇に置かれた紅 ....
宙の風に
吹かれていこう
きっと見つかる
きっと助かる
かるい身ひとつ
どこまでも
開かれてゆく
宙の風の
声を聞こう
きっと理解る
きっと返せる
通 ....
友よ 教えてくれ
いったい何処へ行くのだろう
君とは長い付き合いだ
離れてはいても仲間たちと繋がり合っていた
私は決して孤独ではなかったが
すぐ側にいた君と親しくなるのに時間はかからなか ....
吐く息が部屋のなかでも白を語る
かじかんだ爪先に靴下を与えるでもなく
窓の外
早すぎた目覚めがかなしく
ひとりを悟る
{ルビ時間=とき}に負けて
遠のいてゆくあなたの微笑みは
ま ....
{引用=
冷たい
雨がふりだした
雨宿りする安らぎの軒は、どこにもなかった
若いものは 走りだし
きた道をもどり始める にぎやかな娘たちも
年老いたものは 天をあおぎ
荷を背負っ ....
も吉と歩く
何もない冬の午後
も吉と歩く
はたちの頃 一年ほど日記をつけた
何も残せず ただ消えてゆく日々が
とてもこわかった
時間はたっぷりあったのに
いつもの散歩道
....
泣いていた心理相談受けた人
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