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この先は、記憶に住まうちいさな村です。
まるい形の標識があらわれたので、わたしは
あこがれの物語を
指先でなぞるときのように、目を閉じてみました。
水色ガードレールの
はしっこに寄って ....
それは
優しいあいさつだから
きっと、優しい手紙
まっしろな封筒には
ほんわりと香りのこして
優しい君からの言葉
ほかのどこでもない宛先
おげんきですか、
なんて素敵な手紙
....
すこしだけ
ひざを抱えさせて、という。
たぶん
うつむいた想いと
ゆっくりと進行するあきらめ、と
降りだす直前の雲のようなさみしさ
お気に入りだった音楽や
冷めたカフェオレ、二人乗り ....
羽音だと思ってたら
薄布のカーテンをふるわせて
飛びたいよう、と
窓が
泣いていた
わたしがあんまり
窓の目で
空を見るから
ガラスの表情は
いつのまにか、曇って
月の形に ....
ふいに
欠けた気持ちで目覚めた
三日月の朝
とんとん、と
階段を降りながら
わたしを満たしていた
はずの
あたたかい何かを
必死で思い出そうとする
思い出そうと
コーヒ ....