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夏の空は不必要に青過ぎて
まるで現実感がない。
蝉の不協和音も陽炎も
在り来たりの遠さでしかない。
立ち止まって振り向いても
君が居ないのと同じように
希薄。
印画紙に切り取 ....
灰色の冬の木々に
降り積もる真白い雪
夏の間緑に生い茂っていたなんて
想像も出来ないくらいに
冬の木々には色がない
夏に冬の寒さのことは考えない
しかしそれは根底で
あたしを ....
「病院」と云う単語を口にすると、決まってあたしの脳裏には秋の終わりの桜並木が過る。枯れた葉が風に巻き上げられ、足を進める度にかさかさと乾いた音を発て、粉々に散った。手が冷たくて、外套のポケットに入れて ....
終わらない夏に迷い込んだ
遠ざかる海の青と君までの距離と
どうしても掴めない明日への{ルビ道標=みちしるべ}
灰色の街は誰も居ないよ
壁の落書き程度の罪と罰
遊泳区域の檻 ....
僕 達 は も つ と 一 緒 に ゐ る べ き だ つ た 。
遠 く で 鳴 く 蜩 の 夏 。
{ルビ白雨=ゆうだち}が上がって
青さを取り戻した空には虹が出ている
端から端まで七色な
それはそれは見事な虹だよ
夏の夜は短いって
夜好きな君は嘆いているけど
僕は昼間のほう ....
ス テ ロ イ ド
傾 ぐ 夢 さ え 痛 む な ら
遠 い 目 蓋 に 果 て よ 、 残 夏
雨降りの校庭には
死んだ生徒の霊が出るから
連れて行かれないように
傘は深く差して
声を出してはいけない
理科室の前の廊下は
いつにも増して薄暗く
硝子棚の奥で
骨になった ....
センレツナ
キオクダケヲノコシテ
キエテシマイタイ
カ ン パ ネ ラ 君 の 骨 な ら 返 さ な い 。
殺 し 合 う に は 低 す ぎ る 空 。
焼けた鉄の匂いがして
午后四時
夕暮れにはまだ早い
大きな橋の上から見下ろす川岸には
まだ若い女の子と男の子が手を繋いで座っていて
川の流れは緩やかでみどり色
遠くまでちゃんと ....