意識
有邑空玖


灰色の冬の木々に
降り積もる真白い雪
夏の間緑に生い茂っていたなんて
想像も出来ないくらいに
冬の木々には色がない


夏に冬の寒さのことは考えない
しかしそれは根底で
あたしを脅かす
まるで死のように


確かに冬は一種の死で
夏は死にゆく季節だ
考えないようにしよう何もかも
そうして過ぎ去るのを待つ
いつだって


点滅する信号を見上げている
あれは中学生のあたし
痩せた手首にくるくると繃帯を巻いて
これはお守り、忘れないための

ねえ、そんなことをしなくても
あなたは忘れたりしないよ
そう、今でもね
紺色の制服の裾を翻してさあお帰り
冬に囚われないように


根底であたしを脅かす灰色の季節
かさかさの唇は君の名を紡ぐ
音もなく
降り積もる真白い雪
世界はまだ終わらないから
考えないようにしよう



自由詩 意識 Copyright 有邑空玖 2005-01-21 22:02:33
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