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お喋りふえる昼下がり
乳母車がやってきた
子鬼百匹のせてきて
笛太鼓が踊り狂う
電柱そばの主婦三人
近所の浮気を暴露した
音楽隊のエレキギター
イクラデモ言エチャウワ
私ノコト ....
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
僕は雪ん子 寒がりです
生まれた雲の下をしんしん走ると
すぐ鼻が赤くなります
雪に足跡つけていいですか
振り返れば消えてるのを
何度も見ましたから
口をアングリ開けて
待ってますね
....
私の背中に包丁を入れてください
あーそこそこ
丁度かゆかったんです
そのまま まっぷたつに
お願いします
キャベツというのは
幾重にも丸まって
ドカンといるでしょ?
自分が大きくな ....
言葉足らずだと
「何言ってるか分からないよ」と
柔らかくなる目と真っ直ぐな背中を
変なことを言うと
「え、どういうこと?」と
上がる眉毛とかしげる首を
夕日がきれいというと
「ほ ....
私たちはつながっている
滝つぼでせめぎあう水のように
ときには去りかけている手を
つかむように
私たちは引き合っている
玄関にあるクツや
座っているイスのように
それは確かなこと
....
私をヒロインに小説を書くのは
はなれているからでしょうか
そんなあなたの足を
歩いているとき
掃除機でからめたいです
前に言い切りましたよね
みんな命でつながっていて
よりかかること ....
お祭り好きの
よさ子の得意はツッパリ技
正々堂々と汚いことなし
売られたケンカに
ツッパリ続けて百戦百勝
ケンカの後は友情の握手
この前
八百屋さんの
「お嬢さん
きれいだから ....
ここに今
セミのヌケガラがあるからといって
私だと思わないでください
私はそれがないところにいます
陽ざしの中で
水の粉しぶきをあびた
綿毛の舞う先に
私はいます
私は
いま死ん ....
家に帰っても会社員の彼は
パソコンを叩きながら
テレビを見ていた
番組では
「本邦初公開
自分を捜しまわる日本人形」と
画面の端に銘うってあった
スタジオに
日本人形の入った ....
ここだけの話
寂しそうな家の前を通ると
文字のない手紙をポストに入れる
いつも笑顔の少年が
この町にいるという
行く先々で配る手紙で
肩からかけている袋は
いつも重い
どれくら ....
つながりと呼ばれるもの
つかむと消える不確かなもの
近づけば近づくほど感じる距離
つなぐものなどない
人であるための限界
肉体に宿る 精神の限界
混ざりたい
二人でいたくない
溶け ....