水紋のそのままが伝わり
川底の色に雨が加わる
あやまちの子が
夕暮れに手を振る


曇わたる曇から蒼が降り
唱う譜面の切れ端も降る
幾つかに分けられた家並から
楽隊の ....
神父は田園に入って
サーチライトで信号を送った
空に停車したスープ機関車は
オニオンの煙をまくので
地元住人の非難の的だ
彼はその機関車に乗車したシリアルガールに恋をしていた
今日の夜に彼 ....
どのひとにも
一途な恋心を抱けないままに
わたしのこころを占めてきたのは
往時の少女だった
生きる糧であり
源泉であり
なにもかものすべてだったと
いま 振り返ってみても

わたしは ....
午後八時になると
地下の廊下と階段を降りていき
つきあたりの牢にアイオンスはいる

アイオンスは
青い毛皮に
五本の足と三本の尾を持つけど
顔だけは犬に似て整っていて
嘘ばかりしゃべる ....
ながすぎたうたが
ながされていった
しぶきゅうふは
かもめになってそらをとぶ
わたしたちのすごしたはまべに

おとこたちのゆうべは
おんなたちのあしたで
くずされたすなが
ふたたびた ....
歯車はなぜ回転するのか分からず また分かろうともしなかった
まだ感傷的になれる夜とかがある
疲れると痛みだす傷じゃなく
背の低い面影
未開と欠如と不在と抵抗の熱帯のネガのようなもの
バチ ....
板わさを
肴にしては
蕎麦啜る
今を感謝の
想い出にのせる
おまえのまわりをふみにじれば

おれはおまえをけがしてしまう

おまえをいさぎよくたちきれば

ひとりひかりのかなしみになる

おれはそうなれるほど強くない


くるしくてかなし ....
     一日中 のど笛が消えて
   卒寿のおひとりさまとなった
いま ひそかに愚痴をこぼしている

      無駄口でもかまわない
   もっと もっと若かりしとき
声帯を訓練してお ....
冷蔵庫のコンデンサと
    コンプレッサとが
ご機嫌いかが と適時にささやく
そして そのたびに
    卒寿のおひとりさまは
ぴくっとして 暮しの流れに竿をさす
過ぎた四次元の追憶を迫 ....
木漏れ日の愛される日の四季がありひとの心の一点の闇 自然にできたグループに分かれて
植民地時代のボストンの街並みを色画用紙で再現している
春陽に包まれた5年生の教室

その穏やかな空間に一瞬そよ風が吹いて
支援クラスに行っていた娘がひらりと入 ....
蕎麦屋から

梅雨明けて友ととも来たつるき蕎麦ごまかし利かぬ
 ざるそばの味

光りさす路地に佇み妻ととも友のさしだす
 カメラに向けり

昼すぎて空腹満たし家に在り妻はこれより ....
駅前ターミナルに到着しようとしていた
路上に杖をついた高齢の紳士が
窓のすぐ下に見えた
彼の進む先には確かにバス乗り場があるが
そこが人の歩くべき路でないことに
既に気付いたのか
ほんの少 ....
神社のない
町に生まれた
墓もない
新しい町に育って
隣り町の友達は
高層マンションから
空き地だらけの町を眺めた
僕らは
歴史のない町に育った
僕らの故郷には
神社がない
僕ら ....
平面の布に
針を刺していく
そうして出来た
糸の道を引くと
操られるように
現れる
立体の波は
少女の真新しい綿のスカートの裾を
縁取って踊った

風、曲面のゆらぎ
影とひかり
 ....
書きたいことなんて何もありません
本当は書きたい事だらけなのですが
もう そんな気持ちも差し置いて
上手い事ばかり言おうとする自分が
嫌で嫌でたまらないのです

僕は今 また一つ嫌な癖が出 ....
異物混入の原因になるから
何も持ち込めない
でも
結婚指輪はオッケー

そんなバカな
と思いながら
エアシャワーを浴びるのに
朝の工場には
かいくぐってきたものが
たくさんある
 ....
芽吹きの時が訪れ
そよ風が地を撫で
通り過ぎて行った

陽射しが強くなり
花々は入れかわり
息吹も鮮明な日々

嵐を受けては倒れ
ありのままの姿は
しなやかさを増し

野の花は ....
福島のお祭りへのライブ参加を終え
皆東京に帰っていったが
俺とKはN子にタカりながら北を目指した
Kの友達が青森にいるという
各駅を乗り継いで下北半島へ
皆東京では無職の歌唄いだった

 ....
尾鰭も背鰭もない者だから
スクラップブックから拾ってきました

この気怠さの海を泳ぐ
艶めかしい夏の生き物たちを横目に

白い爪痕も心地よい
日焼けした空をまる齧りにします

スイカ ....
辿り着いた 秋の日
南天が 笑って いました

お前の出番は もう少し 先でしょう? と
笑いかけると

太陽よりも キラキラとした 笑顔で
見つめ返されて

何だか ちょっと 照れ ....
透明な大気に満たされていた
谷あいの小さな あの村に
あたしの夏は いつも帰っていった
斜面のトマト畑で 見上げた空に


悲しみはなかった 日暮れの蜩の声にさえ
秘かに憧れていた  ....
空を目指していた筈の
こころの滴が山の頂きにぶつかり、
雨となって地上に降り注ぐ

雨は山肌を通して幾筋もの小さな流れとなり
あるものは地中で濾過され清烈な泉となって地上に現 ....
繰り返す度に
後悔すること

繰り返す旅に
度々 出掛ける

足元に 足袋
旅マップを
括りつけて

開かないならば
取説なんて
要らないの

茶化しながら
次の茶屋まで ....
すきなものを語る時
いいことをしている気持ちになるけど

きらいなものを語る時
なぜか後ろめたい

文字だけの世界に
吐き捨てるように語るきらいという感情
それが引き起こす現象がこわく ....
    コンパス

―家でコンパスを使って円を描く練習をさせて下さい―
先生から届いたメール

 さあ、早速コンパスを使ってみよう!
 こうして物差しで半径の長さを測ったら
 紙に針を刺 ....
 
路地裏を通り抜ける豆腐屋のラッパは
夕暮れによくにあう

かくれんぼの時間が削り取られて
ひとり帰り ふたり帰り 
隠れたまま鬼から取り残さて
気がつけば夕闇につかまっていた
どこ ....
トウキビの葉がゆれている
昨夜の雨に濡れたまま
まだ膝くらいの高さだが
すぐに背丈ほどにもなるだろう

トウキビはうまい だが
そんなに食べたいとは思わない
年に一度も食べられれば十分だ ....
ポーチュラカって なんだか いいよね 
ポーレシカポーレ みたいで さあ
ポーチュラカって 日照りに強い花だよね
ポーレシカポーレ は ロシアだけどさ

沖縄って なんだか いいよね ....
西天 龍さんのおすすめリスト(312)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夜と羽- 木立 悟自由詩616-10-23
田園- 5or6自由詩2*16-10-23
部屋にて- もっぷ自由詩316-10-23
アイオンスはないてない- 村乃枯草自由詩1216-1-31
かもめ- kaz.自由詩4*15-9-21
ペーニャ- 末下りょ ...自由詩4*15-9-21
もりそば- レタス短歌2*15-9-20
ひとりひかりの- 吉岡ペペ ...自由詩315-9-19
老いの演繹①- 信天翁自由詩115-6-27
老いの演繹- 信天翁自由詩415-6-25
木漏れ日_*- もっぷ短歌315-6-24
ものさし- 夏美かを ...自由詩37*15-6-24
_蕎麦屋から- 生田 稔短歌415-6-23
ターミナルにて- Lucy自由詩20*15-5-15
_故郷- 花咲風太 ...自由詩9+15-5-15
五月のしつらえ- そらの珊 ...自由詩26+*15-5-14
良く思われたいだけなのです- 陽向自由詩5*14-8-10
かいくぐって- nemaru自由詩5*14-8-8
野の花・・・- tamami自由詩914-8-7
下北半島のみどり- 馬野ミキ自由詩814-8-7
夏の幽霊- ただのみ ...自由詩21*14-7-19
空気清浄器- 藤鈴呼自由詩5*14-7-17
夏の歌- 藤原絵理 ...自由詩814-7-17
川が- ……とあ ...自由詩9*14-7-16
旅マップ- 藤鈴呼自由詩2*14-7-16
きらいきらいきらい- 朧月自由詩214-7-16
コンパス- 夏美かを ...自由詩37*14-6-30
日暮れ刻- イナエ自由詩25*13-6-27
とうきび- ただのみ ...自由詩20*13-6-23
そしらぬ風- るるりら自由詩13*13-6-23

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