砂と瓦礫の上、子供たちが石のような目をしてそれを投げ合うとき
わたしはぼんやりと胃凭れ気味な朝を迎えます。
やわらかくなめらかな肌にすりつぶして、塩コショウとマヨネーズをかけてそれを食します  ....
 
 
 
【贖罪の塔】



 罪を犯すたび足許へ穴を穿ち続け
 地獄にでも向かう様に
 地の底へと深く…深く堕ちてゆく

 されど僅かな望みを求めて

  ....
覆い尽くそうとするビルに負けず
ただ泰然と空はあった
眩しい交差点を抜けると再び
空は切り取られてしまうけれど
工場の音さえ微笑ましく
あるいは無表情に
空はそこにあるだけだっ ....
壊れた時計をいくつか
この部屋に飼っているので
どうやら時空にちょっとした罅が入ってしまったらしい
ふいに宙の思いがけないところから
時ならぬクロッカスの花が咲いたり
誰のものとも知れぬ指た ....
 生まれたばかり――
 あまりにもまぶしかったので
 まぶしい と
 叫んだはずなのだったが

 揺籃期――
 プロレタリア文学だと称する
 ひなびた小説を口に入れるが
 不味くて ....
風に吹かれた風船は
ゆらりゆらゆら
中空に ゆらりゆらゆら
浮かんでいる。
そのまま天に向かうのか
それとも萎んで地を這うか

風に吹かれた風船は
幼いころの夢に似て
ゆらりゆらゆら ....
いじめられたら逃げればいい
自分の好きなところに逃げればいい

いじめられっこだったわたしが
いつも逃げてた場所は図書室

「いじめられてもがんばろう」

と、思える本に出会えたとき
 ....
今日の終わりの夕暮れに
街は開店前の呑み屋のようで
ぽっぽっ ぽっぽっと
灯が灯る

昌平橋から見上げる高架
縄のれんのような柳の木
ぽーっと灯る提灯脇に
昭和の夕暮れ 宵の口

 ....
朝焼けの美しさの前で途方に暮れるたび
あらかじめ失っているものの大きさを思い知る
それでもこのまま進んでいくことしかできない
アルゴリズムに沿ってできるだけ

ループから消えた数字は
 ....
幸せな 人見て吾が身 嘆く我が 
         
         いやらしかなし ゆく日の気配
 
 
深夜帰宅して
一人で遅い食事をしていると
ふと封が開けられないままの
なわとび縄を見つけた

息子がなわとびが苦手だから
ある休日
百円ショップで買ったものだった

次の ....
 
 
帰りのバスの中で
母と娘と思しき二人が
楽しそうに童謡を歌っている
曲名も忘れてしまったし
所々歌詞も覚えていないけれど
一緒に声を出さずに歌ってみる
 
他に何もない停留所 ....
やっぱ秋だものね

いつのまにか下腹のあたりに不吉な弛み
食べ過ぎた覚えないんだけど
運動不足ってこともありそうだし

いつのまにか

そう、いつのまにかなんだよね

いつのまにか ....
大きな夕陽の中に
君の背中が逆光に
振り向かない君に
僕は問いかける

人生はこんなものなのか
CTでスキャンすれば
楽しい時もあった
輝かしい時もあった
苦しい時もあった
惨めな ....
峡谷を越えると
静かな瓦屋根の風景だった
懐かしい味噌汁の匂いがした
ああ、そうか
もう冬になるんだ
木が無口だ
迷路のような路地裏を抜けると
君の家がある
赤い屋根の洋館で
君はピ ....
漁村の上空には
薄墨を流した
空が広がる
風つよく
斜めに傾く
松はつらく
ゆられている
歩調をゆるめ
この白灰色の村
確かにあるはずの
日常を
一歩ずつ
踏み潰してゆく
お ....
{引用=


硝子をつたう小径に
痛みは流されて
遠い海に向かう


曇天の淡い輝きの下
たゆたう調べに 今日も
あなたを浮かべてみる




想像でしかなかった白い肉体 ....
雨雲の上には、大空があること

大気の外には、宇宙があること

太陽系の向こうには、銀河系があることを

いつどんな時でも忘れぬように

まぶたに落ちた雨粒ひとつも

そっと、 ....
泣き顔が
僕の世間の片隅で
次第次第に数が増え
しかも奴らはでかい顔
僕の居場所を奪ってく

泣き顔が
僕の世間の真ん中で
どんどんどんどん数が増え
しかも奴らは湿っぽく
僕の顔も ....
{画像=101015121000.jpg}


君はどこに行っていたのと
神話が問いかける
ここまで
ずいぶんと時間をかけて
きたのに
ほんのちょっとの不在で
だいなしにしたね、と
 ....
 明るい心臓の奥深くに
 私のかたちに似た木が一本
 ひっそりと佇んでいる

 その木は、
 常緑と呼ぶにはいささか
 難解で
 落葉と呼ぶにはいささか
 陽気である

 そし ....
野分も過ぎれば
盆水は枯れ
鬼灯なる火祭り朧
無月に揺れた
石蕗が送り火
窓/渋柿に染まり
偲ぶ風花
季節は移ろい
滞るままに
連おもう携帯の

いつか
あの山の ....
{引用=











ぼくがはじめてきみになかだしをしたよる
ぼくのなかのぼくはほとんどしんだ





額からこぼれ落ちてくる
角を拾い集めて
 ....
掲げた手首に引かれた風コンパスと炎の赤道は喉を掻き切り流れ出す椰子の黄色い核が浮き沈みする痕では半人半霊の拝む太陽の焦点も焦げている瞳孔と溶けるチョコレートの肌に押し寄せる波濤そして火傷するほど疾 ....  
 
洗濯機がうるさいので
蓋をあけると
見知らぬ人が泳いでいた
はげしい渦潮に飲まれぬよう
必死に波を越え泳いでいた
息継ぎをしながら
何か言っているけれど
よく聞こえない
耳 ....
あなたを思うのは
まだ青い霧がたちこめる夜明け前
それとも名も知れぬ花が香る陽のひかり
夜がやってくる吐息のまにまに


あなたを求めるのは
後れ毛が風に震えるようにひそかに
梢の青い ....
硝子張りの塔
空を突き抜けて
人類は何を目指したのだろう

地を這いずり回ることへの抵抗
重力からの解放
自由という名の挑戦

空中都市に想いを馳せ
天上人を創り出す
古代文明に預 ....
断片的に腐敗してゆく
囚われの大地に
種子が落ちて芽吹き
雨が枯れようと
禍々しさのない陽に
両の手を広げ
受け入れる

知識を持たず
本性に従って生きるものたち

裸の木立 ....
 
 
シーソーの上に水羊羹
その意味の無い重さ
恋が終わる
 
+
 
ベランダから洗濯物が落ちていく
どうしようもないのに
シクラメンが咲いている
 
+
 
乾いた側 ....
ずっと寄りかかっていた
揺るぎない背もたれとして安心しきって
あなたが感じている重たさも
慈愛で受け入れて
融かしてくれているのだと思っていた


いま、青に導かれて去ろうとしている
 ....
月乃助さんのおすすめリスト(2699)
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