街の灯
……とある蛙

今日の終わりの夕暮れに
街は開店前の呑み屋のようで
ぽっぽっ ぽっぽっと
灯が灯る

昌平橋から見上げる高架
縄のれんのような柳の木
ぽーっと灯る提灯脇に
昭和の夕暮れ 宵の口

レンガ壁の高架下
洒落たスペインレストラン
並びに映る赤提灯
焼鳥屋の煙る夕暮れは

家路に急ぐ所帯持ち
帰るに帰れぬ訳有り爺
酒の力で家路にたどる
帰りゃストレスまた溜まる

少し寄り道赤提灯
くぐる煤けた縄暖簾
ちょっと一杯お銚子一本
飲めば飲むほど遠くなる

帰る時間に決まりなく
居汚く飲み続け
くだ巻きそのまま夢の中
猪口を持て夢の中

ポツリポツリと消えて行く
街の灯りが消えて行く


自由詩 街の灯 Copyright ……とある蛙 2010-10-20 10:14:15
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