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{引用=おっぱいの弾力が失せた女は信用できない
… 夭折の男根主義者(ダンコニスト)
セルゲイ・メンタイコスキー}
ビッグ・ティッツ
海潮音の記号 ....
垂乳根の母がそうしてこわれたら
貌あおみどりにこわばって
幽鬼のように見えましょう
蛍光管は外しましょ
こわれた母には濃い{ルビ布=きれ}でなく
産着の色を着せたげます
さきの事実は疾 ....
あれは
花の散る音だよ
花びらの儚くはがれ
地に落ちる音
砂に擦れる骨片の
乾いた軋みのようだろう
あれは
時の流れる音だよ
流砂のさらさら崩れ行く
風と波の造る音
私の体を通 ....
にわか雨が去ると
真冬の風が通りみち
樹木も人も躰を震わす
「バーイ!」
「バァーイ!」
交差点の娘たち
無敵の若さにさざめいて
もっと綺麗な明日に生きる
ヒラヒラと手を振って
ひと ....
思い描いた未来なんて
無意味なまぼろし
窓のガラスに描いた夢
流れ去って行く雲を数えて
惰眠を貪っている内に
ひとり丘に取り残されて
春かと思っていたのに
秋風が立っている
私を育 ....
帰宅早々インターフォンが鳴り
え? 宅急便?
受話器を取ると
「とりっくおあとりーと!」
子供達の雄叫びが両耳に飛び込んで来た
驚いた
かぼちゃランタンがそちこちに並ぶ時節
とうとうアク ....
{引用=初等科之部}
よいこはねとけ子守歌
ももたろうのおはなしと
かぐやひめのおはなしと
ねむれよいことねかされて
ごっちゃになったゆめをみて
ひとりでよなかにめがさめた
ごとご ....
ジェロニモは古い雑居ビルの二階にいる
逆立てた金髪の根元半分が黒い
豪壮なプリンあたまの
ぶざまに鼻の長いこの青年は
いつもどんより倦み疲れた顔で
ほぼ毎日同じ電車でプラットフォームに吐き出 ....
猫がふと
ベッドの上に端座して
スピーカーから流れる
フランソワーズ・アルディに耳を立て
神妙な顔で聴き入っている
「私の青春は去ってしまった…」
猫にもアンニュイがあるのだろうか
....
耳を塞いでよく聞きな
俺の生い立ちはこうだ
頭を巡らせてみると
格子の向こうに四角い光
その中からこっちを見ている一本の木
やっと首の据わった俺が
ベビーベッドの中にいたというわけさ
何 ....
「御用邸の月」という
那須のお土産を食べている
おととい貰った
「萩の月」そっくりな
数多あるパクリもんだ
案の定カスタードが全然劣る
何で真似さえできないのだろう
ウコッケイでも使って ....
ある所に六本指の女がいた
小指の横に不様な枝のよう
けれど女はピアノを愛した
弾けもせぬ楽器を愛した
美しい爪をして
ハープの弦の為にあるような
水晶の爪だった
鳥が飛ぶ
ガラスの ....
きみのハウンズトゥースの胸の上
ニャーニャー鳴いている仔猫も
やがて大きくなるってことだ
愛されたくて庇護を求めて
尾っぽをぴんと走り寄って来る
痩せた可愛い仔猫だって
なのにきみは四 ....
風売りが辻々に立ち
夏商い
キンギョソウ浴衣娘
花穂揺らし
神楽坂は汗ぬぐう貌
険もなし
逃げ水の小路の先
だんまり暖簾の昼寝蕎麦
白の碁石の艶
黒の碁石の涼
盤に零れてぱち、 ....
ハリー・ポッターと便秘症のカズコさん
ハリー・ポッターとお父さん不整脈の予言
ハリー・ポッターと快適床暖房
ハリー・ポッターと殺人おむすび最後の戦い
ハリー・ポッターと白菜ジュース早搾り大会
....
日曜日
公園端にひまわりが伸びていた
二輪はふてぶてしい黄色
子ども達のはしゃぎ声を
したり顔で見下ろしている
あと四、五本のはまだ早緑
背丈は一人前なのにねー
大きな葉っぱを着て
....
夏のくもり空は ぽぽち
雀のほっぺほどの ぽぽち
何だか眠くて ぽぽちぴ
鼻奥がのーのー詰まって来る
太陽も今日はカンバン
食器棚のおちゃわんの高台の中
ぐっすり眠ってるんじゃない?
....
しげ子には
何ひとつ起こらない
小説や映画の出来事は
重子は
それを不幸と考え
不当に感じている
茂子は
ひとり置き去りにされ
日常に縛られていると
繁子は
ドラマツル ....
{引用=悪いことして、理くつくっつける人間は、用心しなきゃなんねえぞ。
理くつさこいてやってくる奴あ、用心しなきゃなんねえ。
「ひかりごけ」武田泰淳} ....
{引用=アースウインドアンドわしじゃ}
私の中のピッグス粒子
はブヒブヒブヒ
私の質量
とゆーより実質量を造作する
去年買った26インチが穿けない
腹を引っ込め
腰を捻じり
....
スー・チーは怒っていた
歯石に覆われ摩耗もした奥歯を3本抜く
その際の全身麻酔が老いた腎臓に負担となる為
昨日から右前肢に入れられた点滴の針が
よほど苛んだのらしかった
レントゲンやら抜歯中 ....
いちごとたまごサンドの具
いちご1パックを買い
5、6個出してセロファンを戻し
3ドア冷蔵庫最下段の野菜室に入れた
2、3時間後
冷凍庫を挟んだ最上段の冷蔵室が
いちごの香りでいっぱ ....
子に差しのべた腕からは
女の斬られた両腕からは
水が滴った
血でなく間断なく水が
滴り落ちた
空に差しのべた腕からは
男の斬られた両腕からは
樹が生えた
蛆でなく際限なく枝葉が
....
春の風は遠くから来ます
夏の風は遠くへ行きます
あこがれ、とは違う
何処か知らない所へと
私を誘います
秋の風は通り抜けます
冬の風は通り過ぎます
喪失を知らしめ
懐かしい者どもと ....
漆黒の大サングラスをも
目深のニットキャスケットで隠し
うつむき加減の奇異なキープで
ポストに封書を投函したあなた
その後も投入口に屈み込み
二重フラップに引っかかっていないか
きちんと下 ....
毛が濃い
け‐がこい[怪囲い] 北陸地方に伝わる、悪霊や妖怪のたぐいを封じるまじない。{ルビ紙垂=しで}を連ねたものや消石灰、小麦粉、片栗粉、米粉または春雨、
ビーフンなど、とにかく白っぽい ....
さかんに水が降りますね
明日に蓋でもするように
おびただしく注いでおります
地面の下はどうなっているだろう
私はこんな時決まって
泥濘に埋もれた兵士の白骨を連想します
それから恐竜の化 ....
春が来るたびに
色が褪せて行った
女はテーブルに きいちのぬりえ を開き
サクラクレパスで塗って行く
夏が来るたびに
心が剥がれて行った
何ひとつ帰り来ぬ家の 何ひとつ得られぬ部屋で
....
成分非表示
1本のソーセージを自我とする
貫く串はリビドー又は時間軸だろう
小麦粉と溶き卵、それに砂糖
このブ厚い衣が自尊心
適温の食用油で適宜に揚げる
これは処世術 ....
舌を切られた者はともかく
一度口に放り込まれたら
二度とキャンディーの味は忘れられない
どんな果実よりそれは甘く
どんな甘味より刺激が強く
思うだに唾液が溢れ
食べ続けても満腹感は決して来 ....
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