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夜明け
窓を開けると
空に明星が瞬いている
テーブルにこぼした煙草の灰を
手で掬いとっているうちに
夜が終わっていく
春先の
暖かい雨は降り止み
朝日が微かにひかる
神経が泡 ....
南の空気を孕んだ
雨が止んで
少しずつ
本当に
少しずつだけれども
春は
近づいて来ている
三寒四温
四つ進んで、三歩下がりながらも
春は、確実に近づいてくる
私の街に ....
なにもない
雪だけの原を歩く
目の前の白
後ろに点々と足跡だけが残る
まるで世界に
自分だけがとり残されたような感覚
孤独の影が走る
ドサリ、と音がする
木から雪でも落ちた ....
私は幼い頃早口で
軽いが、どもることがあった
母親でさえ、聞きなおすことがしばしばだった
さすがに長ずるにつれ、本人も自覚して
早口をおそくするように心掛け、発声に気をつけて
治そうと努 ....
凍結する
冬の寒風に身を晒し 、立ち泳ぐ
辺りには静寂が満ちていて
指先から徐々に冷えてゆく
あらゆる感情の蛇口は
かたく閉じて
それがいいことなのか
悪いことなのか
判断すること ....
手渡しされた新しい年は
少し
湿り気を帯びていて
私の砂時計は
サラサラと流れていかない
古い年に取り残されたものたちが
色を失い
塵、となって積もっては
風に吹かれて
冬空に溶 ....
空白に 呼吸をためてうたいだす この息がまだ白くあれば