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灰色の空 雨の日は憂鬱
窓辺で雨粒がご挨拶
ご機嫌いかがと親しげにいわれても
あいむふぁいんと返す気分じゃない
めくり忘れたカレンダーに並ぶのは
反芻した日々
雨の匂いが染み込んで ....
真夜中に
足の爪を切れば
へびがやってくるのよと
かあさんに教えられたから
耳をそばだてる
キッチンのじゃぐちから
漏れている
しのび寄る音
あれは雪どけでしょうか
ぱちんぱちん ....
春の列車が
終着駅についたので
降ります
列車はまた
新たな終着駅へと
折り返していきます
ありがとう
ここから先は
歩いていきますから
レールの上
とやらが嫌になった ....
海に沈殿した子ども達を
耳かきで掻き出す
「わたし早くママになりたいの
と
餌を求めるように
口々に主張する子ども達は
飽和した酸素に触れたとたん
波に揉まれて白い泡になる
灯台の ....
しゃわしゃわしゃわしゃわしゃわしゃわ
山奥の合掌造りで
祖母は暮らしていた
冬は深い雪に閉ざされ
ひっそりと
何もないところだった
祖母がまだ少女だった頃
屋根裏では
蚕を飼っ ....
湯船のふちまでお湯を張る
そっと揺らさぬように
しずかに身を沈めると
溢れ出たお湯が
洗面器をさらった
体の芯がやわらかくなるまで
ゆっくりと数をかぞえる
幼い頃
....