すべてのおすすめ
 
 
ウミウシの背丈より 
大きくなった僕の子供が 
草原に立って
外国人になる 

痛みのない蝉が
辞書の中で鳴く
抜け殻でできた橋梁が 
丁寧語で崩落を始める
通訳の人は母 ....
 
 
世界は晴れあがっています 
わたしたちの頭は禿げあがっています 
この頭の表皮に繁茂している
おびただしい髪の毛がすべて 
アデランスだと言っても
あなたは信じるでしょう 
で ....
喉が渇いたので
醤油を飲んでいたら
目が痛くなった
目薬と間違えて
醤油を差していた
まるで
お寿司のように

空っぽになった
醤油を探して
東京を歩く
薬屋はたくさんあるのに
 ....
 
 
明方の台所で
豆腐がひとり
脱皮をしていた
家の者を起こさなように
静かに皮を脱いでいた

すべてを終えると
皮を丁寧に畳み
生ごみのところに捨て
冷蔵庫に入った

 ....
夜更けに植物たちの呼気が肺胞を満たし
ぼくはしずしずと座席におぼれていく
鶏頭の形をした虫みたいな小さな生き物が
呟きのように車内灯に集まり始めている

窓の外では乗り遅れた人が持て余し ....
 
 
ぬかるんだバス停で
いやらしい下半身を
露出した時計
ポピーの花束を持って
佇んでいる
金属製のモノを
口に含むと
すぐに射精し
その異物を手に吐き出せば
様々な言語の断 ....
 
 
野原に自転車が倒れていた
車輪が外れていたので
持っていたアイロンで
直すことにした
うまく直せないでいると
両親と兄がやってきた
みんなアイロンを持っていた
あれこれしてい ....
 
 
ぼくが逆立ちをする
父が支える

あれから数十年が経ち
今度は父が逆立ちをして
ぼくが支える番になった

それなのに
父はベッドに寝たまま
起きてこない
 
 
 
 
ぼくの骨が溶けだして 
飴玉のような
真っ白な塊になる
飴玉だよ、と 
近所の子供にあげると 
骨みたいな味がする 
そう言って無邪気に笑う 
骨の無いぼくは
ぐにゃぐにゃ ....
 
 
深夜、きみが
コップを割ってしまった
きみの夢の中で

思い出の品だったのだろうか
きみは泣き出して
泣き止まなかった
ぼくはきみの夢の中で
ただおろおろするばかりだった
 ....
 
 
妻の眉間のあたりに
凪いだ海がある

うみねこが飛ぶ
貨物船が渡る
風が吹く
少し波立つ

虹、と
妻が指差す

知ってるよ、
海に映ってた
 
 
 
 
はがれていく。
ブランコに乗る。
千枚通しの先端が怖い。
パジャマ、
家族の。
さわやかな朝、
という一人きりの先制。
専制君主。
ルイ十四世。
掃除をする。
はがれて ....
 
 
二死満塁のピンチだった
ぼくが第一球を投げると
キャッチャーは既に不在だった
家を継ぐために
故郷に帰ったのだ

走者はホームに生還した
その間にバッターは
甲状腺の病気が ....
 
 
そういうわけで
首が引っ込んだまま
ぼくは浜に出た
蟹が当たり前のように
前の方に向かって歩いていた
体の奥から見ていると
蟹はやがて視線に気付いて
慌てて横歩きを始めた
 ....
 
 
亀が道を歩いていた
甲羅をつかむと
慌てて首を引っ込めた
のは
何故かぼくの方だった
亀は空に向かって
首をおもいっきり伸ばし
退屈そうに大きな欠伸をした
ぼくはその一部始 ....
 
 
戦場で扇風機が回る
生活が確かにあった
セミは鳴く
脊椎動物たちが
忙しく生きた夏に
 
 
 
 
 
炊事を終えた
スリランカの水夫たちが
座って西瓜を食べていた
 
出納係はスープ皿に
吸殻を捨てた
 
好きなものはすべて
素手で触りたい
 
水族館の閉館日
すぐり ....
 
 
水ようかんの沈む海を
泳いできました
手作りの名前を
握りしめて
どこから来たのか聞かれても
お母さん
としか答えられませんでした
今日という日がまた溶けて
明日だけが
 ....
 
 
平泳ぎが得意で
早退した
陽の光はまだ幼く
犬の背中も
温かく照らした
国鉄の線路は
歪んだ円を描き
わたしは
父の利き手を
思い出すのだった
その作業と
役割につい ....
 
 
休日のオフィスでひとり
コピーをとってる
何度とり直しても
文字や記号は
羽をはやし逃げてしまうから
白い紙だけが高く積まれていく
明日までに終えなければ、
と思う
明日が ....
 
 
下着の縦と横が 
垂直に交わる 
そのようなところが 
指定の喫煙所
煙にまみれ 
自転車はすべて 
曲がっている 
下着は優しい 
縦と横があるから 
指は縦をなぞり  ....
 
 
椅子に座ると
海が見える
水平線の向こうでは
犬が笑っている
知らない異国の言葉で

信号が変わり
スクランブル交差点が
背丈の違う人々で
溢れかえる
皆、舗装を痛めな ....
 
 
砂漠にさくらが咲いた
砂漠中の魚が集まってきて
あたり一面、銀色に輝いている

わたしが目を閉じると
さくらは散り
砂は空へと帰っていく

そして魚たちはみな
記憶の届か ....
 
 
壊れた工作物に
黄砂が降り積もる
梢は公道に木漏れ日を落とし
昏睡する
呼吸と肯定されることのない
告白の中で
コップから言葉が溢れ
子どもは硬貨を握りしめたまま
交差点を ....
 
 
ケイコは献血に行く
ケイコは血圧が低い
血糖値は正常の範囲内で
血色は良く
健康的に見える
ケイコは毛が生えているが
蹴鞠のイメージはない
ケイコはケーキが好きだ
けれどケ ....
 
 
ありがとう
そんな簡単な言葉を
忘れたまま
一応の今日がある
体積は権利
表面積は義務
肉体は続く
魂の原野
そのつきあたりまで
 
 
 
 
犬の耳を触る
どこか遠くで
冷たい信号機と
同じ匂いがしていて
生きていくことが
懐かしく思えた
今日、初めて
歌を作った
雲の下に捨てれた
鍵盤のないピアノに
腰掛け ....
 
 
誰に手紙を書こうか
考えているうちに
便箋はみな鳥になって
飛んで行ってしまいました
ペンを持った私だけが
窓辺の席に座り
次の遠い春を待つ人のように
外の音を聞いたりしてい ....
 
 
薄暗いプラットホームから
各駅停車の
ジェットコースターに乗る
あの日、僕は
いったいどこに行きたかったのだろう
雨降りの遊園地で
もう手をつなぐ人すら
いないというのに
 ....
 
 
砂漠の真ん中で
電話が鳴っている 
誰も出ることなく 
鳴り続けている
やがて一人の子どもが 
受話器を取る 
要件を聞くと 
急いで親を呼びに走り出す 
足跡は風に崩れ  ....
壮佑さんのたもつさんおすすめリスト(96)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
草刈り- たもつ自由詩712-5-31
頭皮行- たもつ自由詩812-5-27
東京- たもつ自由詩512-5-22
冷奴- たもつ自由詩1312-5-21
最終列車- たもつ自由詩812-5-15
オーラル- たもつ自由詩212-5-14
蜜柑- たもつ自由詩1112-5-10
逆立ち- たもつ自由詩1012-5-9
骨飴- たもつ自由詩612-5-8
思い出- たもつ自由詩1112-5-7
- たもつ自由詩612-5-6
はがれていく。- たもつ自由詩212-5-4
第一球- たもつ自由詩1112-5-3
首男(二)- たもつ自由詩412-4-29
首男- たもつ自由詩412-4-27
生活- たもつ自由詩512-4-26
素手- たもつ自由詩512-4-24
遠泳- たもつ自由詩612-4-22
利き手- たもつ自由詩612-4-20
背伸び- たもつ自由詩1012-4-18
対角線に進むと- たもつ自由詩312-4-17
水平線の犬- たもつ自由詩1012-4-15
砂漠のさくら- たもつ自由詩812-4-14
昏睡- たもつ自由詩512-4-10
ケイコの場合- たもつ自由詩412-4-8
age45(一応の終わり)- たもつ自由詩912-4-7
age38- たもつ自由詩712-3-31
age37- たもつ自由詩812-3-30
age36- たもつ自由詩712-3-29
age34- たもつ自由詩612-3-27

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