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久しぶりに、いよちゃんに会ったら、前歯が1本なくなっていた。笑ったとき、いたずらっぽくみえる。
乳歯が抜けかかっていたのを、えいやっと自分で抜いてしまったらしい。それを見て母親はびっくりしたと話して ....
ひとり校庭で
逆立ちの練習をしていた子
あれが、
きみだろうか
5段組みのてっぺんで
バンザイをする子
きみでないことはたしかだ
きみは高所恐怖症で運動オンチ
逆立ちもできないし側 ....
山の水があつまる
わんどの深みに
ザリガニのむき身を放りこむ
暗い川底が
ぐるるんと動いた夏
七輪でおばあさんが焼く
ナマズの蒲焼き
田んぼの畦を吹きわたって
麦わら帽子の
ひさ ....
ヒューヒューヒュー
ドーンと叫んで両手を高くあげ
おもいっきり地面を蹴ると
おじさんの体は
そのまま夜空へあがってゆく
おじさんの花火だった
おじさんは夜しか現れない
ビョーキかもし ....
ぼく生まれたい
ぼくの中の小さなぼく
はやく生まれたい
さがしても
どこにいるのか
たずねても
だれも知らない
きのうのぼくではない
きょうのぼくでもない
たぶん
あしたの ....
いつからだろう
背中に川が流れている
岸辺には
大きな榎の木がある
その川には
エノハという美しい魚が棲んでいた
むかし
榎の葉っぱが魚に変身するのを
おじいさんは見たという
....
父が商人になったきっかけは
一本のから芋の蔓だったのです
長男だった私は
そんなことを弔辞で述べた
そばで母や妹たちのすすり泣きが聞こえた
その前夜
父はきれいに髭を剃ってねた
どこ ....
あまだれが落ちるのを
じっと見ていた
そんな日があった
そんな子どもだった
樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
ああ
あまだれが1ぴき死んだ
あまだれが2ひき死んだ
....
初潮ということばが
海のことばみたいなのはなぜかしら
などと考えていた頃に
おまえの家は紙の家だとからかわれ
わたしは学校へ行けなくなった
わたしは紙のにおいが好きだった
ノートのにお ....