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ひび割れた指先から 
冬の滴がしたたり落ちて
大地に染みこんでいくとき
温い風に梢を揺すられ 
慌てたまんさくは
葉芽を出すことも忘れて
よじれた花を開いてしまった

北の風に身をよじ ....
いつも 
車両に乗り込んだ人は
先から乗ってきた人に
目で挨拶を交わしたきり
閉じたままの窓の外へ
視線を泳がせたまま
死んでしまう

いつも
死んだ人間が運ばれていく車両に
今日 ....
どうして
コンクリートで
庭の地面を覆うのでしょう
芽生えようとしていた希望が
誰にも知られず
腐敗してしまったことなど 
コンクリートは
教えてくれません
子どものころから知っていた
その今度は 
生涯 来ないこともあることは

だから
続きは また今度 
と言われたら
諦めるしかない
父の{ルビ骨=コツ}は先祖代々の墓には入れない
同じ仏教でも宗旨が違うから

そんなことを言ってきたのは
父の後を継いだ弟
新たに入った宗旨に則って 
その寺の経営する墓地に
墓を買った ....
高校進学説明会で
ある高校の教師が声を張り上げ力説した
「うちを受験する生徒は 
 学業成績は悪い。問題生徒も多い。
 私たちが試験場で見たいのは 織田信長です。
 ご存知でしょう
 うつ ....
夜も光が満ちあふれている
というのに何という暗さだ

積乱雲の内に潜んでいた狂気が燃え上がり
炎となってなだれ落ちた北の空
燃え広がる炎は山を飲み込み
夜と昼 夏と冬が入り交じった都会の
 ....
どんなに騒いでいても
静かに眠っていても
来るものはくるのだ

 小川一本の県境
 だからといって
 
 天候が
 変わるわけでもないのに
 天気予報は変わる

 水の性質が ....
           猫だけを置いて
           家人が出かけてしまうと
           猫は人になると飼い主は言う

電話が鳴る
猫は眠っている

電話が鳴っている
 ....
だまされたのかも知れない
甘いにおいに誘われて
近づきすぎた

 人だって 
 グルメな匂いに弱い
 縁日の雑踏の中の醤油の臭い
 に誘われて 
 埃と一緒に口に入れる
 焼きと ....
あなたを指した指に
刺されたあなたの
痛みが刺さり

腕を駆け
胸に針刺し
脳にとどまり
   
たたかれても 怖がられても
一日中笑顔で過ごす 
他には表情が無いから

人間と同じ姿に作られて
どこで間違ったか
喜怒哀楽が有るように錯覚されて

人と遊びたいとも思わない ....
秋の夕暮れ
床に漂う冷気に足を漬け
おとこひとりタマネギを剥く

まな板に乗せ 包丁を持ち
玉ねぎの白い肌が 
病床の妻に重なって
ためらったおとこから
逃げたタマネギ

床から拾 ....
あの朝 若い担任は 粗暴で担任泣かせの君が書いたという「ひとりぼっちのクリスマス」を校長に見せた。感動した校長は涙ぐみ集会で紹介していた。だが この話には君ではない原作者がいた。
母子家庭の少なくな ....
結婚してからも二人は別々の道を歩いた
二人の間が広がっていったとしても
二人は詰めようともしなかった

二人の間に他人が入ったとしても
二人の間を埋めることも
ひろげることもできなかった
 ....
近所に温泉があって
泥水のように濁った湯と
青みがかった透明な湯と

泥んこ温泉はホントに温泉らしくて
透明温泉は井戸水お風呂のようで
でもどちらも温泉

晴れた朝の風景を
 ....
「男女七歳にして 席 同じゅうすべからず」この精神に則って 国民学校と呼ばれていた現小学校の三年生からは男女別学になった。担任も女先生から 自らを在郷軍人と名乗って憚らなかい男先生になった。新学期にな .... ロシアでもドイツでも
三人兄弟の末っ子は
けなげでありたくましい

日本の三人姉妹の末っ姫は
異界に嫁いで人間世界を救う

水の不足は命の危機
日照りの続く田の畦を這う小蛇と
交わし ....
 
路地裏を通り抜ける豆腐屋のラッパは
夕暮れによくにあう

かくれんぼの時間が削り取られて
ひとり帰り ふたり帰り 
隠れたまま鬼から取り残さて
気がつけば夕闇につかまっていた
どこ ....
夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
その葉裏からわき出る蚊 這い出すヤスデ
ときには蜂が茂みに浮かぶ花を尋ねて
低く飛行する

手入れし ....
視覚には捕らえなかったけれど
感じてしまった
小さな淵に潜んだ眼

その頃
山奥に完成したダム湖では
人を呼び 春を楽しませようと
貸しボートを浮かべていた

まだ観光の人もいない早 ....
ベランダに出る
たばこを取り出す
火を付ける
煙を吐いて見上げた空

ぼんやり白い雲
切れ間に
オリオンの三つ星が
行儀良く並んでいる

カーテンから漏れる居間の光が
隣の家の壁 ....
初めて会ったきみはあどけない顔の
いたずら好きな中学生だった
母子家庭の一人っ子だったきみは
わたしの中に父を見たのか
以来様々な報告をしてくれたが…
自分をコントロールできない意志の弱さと ....
わたし時間です
あなたの時間です
わたしはあなたの中にいます
だから
わたしとあなたは同じです

わたし時間です
似ていますが痴漢ではありません
でもあなたはわたしがうとうとしていると ....
nonyaさんのイナエさんおすすめリスト(84)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
早春素描- イナエ自由詩11*14-2-24
いつもの車両に- イナエ自由詩12*14-2-22
- イナエ自由詩11*14-2-13
また今度- イナエ自由詩11*14-2-10
墓と骨- イナエ自由詩13*14-2-4
そとづら- イナエ自由詩6*14-1-30
クリスマスローズ- イナエ自由詩13*14-1-12
越年- イナエ自由詩18*13-12-27
猫と電話- イナエ自由詩20*13-12-21
ウツボカズラ- イナエ自由詩18*13-12-19
人差し指- イナエ自由詩9*13-11-18
アクトロイドの愛- イナエ自由詩9*13-11-8
玉ねぎの涙- イナエ自由詩10*13-11-2
Kよ…- イナエ自由詩9*13-10-23
夫婦- イナエ自由詩10*13-9-26
温泉水と詩- イナエ自由詩6*13-9-10
フクロウと呼ばれた少年- イナエ自由詩7*13-8-14
夜叉姫- イナエ自由詩12*13-7-7
日暮れ刻- イナエ自由詩25*13-6-27
挽歌- イナエ自由詩7*13-5-31
淵の眼- イナエ自由詩6*13-3-21
冬の蛍- イナエ自由詩513-2-14
少年A__- イナエ自由詩7*13-2-2
わたし時間です- イナエ自由詩8*12-11-10

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