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夜道に光る自動販売機の横に
「TRASH」と黒字で書かれた白いゴミ箱が
暗闇の丸い口を開けていた
空っぽのペットボトルは棄ててもいいが
棄ててはいけないものもある
旅人の ....
今日も列車はゆっくりと走り出す
人々が不安げに見る
車窓の外の遠い山に身を埋める
観音像は
すべてを{ルビ識=し}っているように
瞳を閉じる
自分で望んだ記憶も無く
....
茨の針金に囲まれた
四角い土地に独り立つ、
蒼白の人。
棒切れの直立で、丸い口を開けて仰ぐ
空の浮雲
{ルビ人気=ひとけ}無い村の入口で番をする
飢えた牛の、細 ....
自らの寂しいベールを身に纏う
今迄の自分を打ち破ろうと
夏の夜の浜辺を走る
( 遠くに若者達の花火は上がり・・・
ずぼりずぼり
足首{ルビ嵌=はま}る砂浜の
空回りをも ....