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はる、
勉強机と低い本棚の間に架けられた、
一本のクモの糸、
その事が今なんだか妙にうれしい、
それは春が春のなかを渡り歩いたという、
ささやかで、
たしかな軌跡、
ひさしぶりに開け放っ ....
きみの手は、
しっとりとした雪が、
もうすでに降り積もっている、
ひんやりとした夜の雪原である、
「冷やし中華はじめました」、それは夏を大まかに括っていた、水色の一枚の暦のように、町中華の古びたガラス製の開き戸に貼られていた、その水色の張り紙を、店主のおっさんの手がゆっくりとひき剥がしてゆく、ぽっ .... ちいさな、迷いの、
みえない、
硬い、戸惑いのプラスチックを、
決断の、とがらせた指さきで、
突きやぶって、
それから、送信の、まるで火災報知機のボタンを、
ほんとうに、
押してしまった ....
ふるるさんの本田憲嵩さんおすすめリスト(4)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春の糸- 本田憲嵩自由詩1725-3-21
雪手- 本田憲嵩自由詩1824-12-30
「冷やし中華_終わりました」- 本田憲嵩自由詩1224-8-27
通報者- 本田憲嵩自由詩1321-11-24

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