上り坂が続く
坂道が
「ごめんね、坂道で」
という
ギアなんてついてない
ママチャリですので
傾斜が上がるたびに
スピードが落ちていく
ペダルが
どんどん重くなる
後悔が
....
生きてゆくちからが 愛するちからがいまもあるならば
笑い転げたあのジョ−クを 思い出してよ
僕の最初のまちがいは 生まれたことだってね
いちばん不幸なのは 君と一瞬も離れることができないこと ....
静かにあなたを愛していたい
決してはげしくじゃなく
そっとあなたを愛していきたい
愛に力などをこめずに
ぼくはあなたを抱きしめたい
そのときあなたの好きな
ディオリッシモの香りにぼ ....
インターホンの向こう
奥さんの返答が聞き取れなくなる
営業妨害の嫌なサイレンだ
気がつけば風にのって煙の臭いが満ちてくる
ますますサイレンが近づいて来た
火事だ!
道路向か ....
大人になって
出来なくなった
逆上がり
夕暮れのポストに
転送されてきた
手紙
差出人は
さかさまになった
世界
天をけりあげて
ポケットから落ちた
....
まちは固すぎるので
気をぬくとぶつかって死ぬ
あらゆるものが
手に入れやすくなり
あふれ出すようになると
昨日がどんどん遠ざかり死ぬ
やさしさが
一山いくらの値札をつけて
....
百円で買った文庫本
アメリカのとある古い短編小説
マウンテンパーカーの前ポケに
ちょうどだからと出かけるときに文庫本
雨がぱらぱら
結局ざぁざぁ
一日降って傘をさし ....
18歳のわたし
細い肩に
いっぱい夢を乗せていた
小さな足に
赤いハイヒールを履いて
この掌で
いっぱい夢を掴めると思っていた
18歳のわたし
愛することを知らず
愛されるこ ....
障子に無数の白い桜が舞っている
流れてないのに流れてる
風の姿であるように
旅先の花巻の宿にて
窓から射す日向には
あの黒い帽子を被りうつむいて
畑を歩く賢治さんの影絵が ....
おいおいそんなに簡単に
孤独になりたいなんて言うなよ
孤独はそんなに親切じゃないぜ
きみが想う程やさしくもないぜ
きみは親しくつきあえると想っている様だけど
孤独にだってね 選ぶ権利はあ ....
バスタブからあがった
ブロッコリーが塩と胡椒で
身支度を整えている頃
次から次へと切り出された
キュウリの楕円形の
車輪は朝日を照り返して
クロゼットからはがされた
レタスが ....
詩って編もうとして
編めるもんじゃ焼きじゃないですよね
或る時 或る場所で
何かを見たり
ぼんやりとしている時に
或る言葉が躓く様に突然浮かんでくる
その時に
ずっと眠っていた自 ....
Y
あなたは樹木
草原に立ち
両手を広げ
Y
あなたはグラス
降り注ぐ声を
すべて
受け止め
Y
あなたは交差点
別々の人生が
いつしか
ひとつに
Y
ひら ....
ひとだすけ
しようとしては
じぶんをたすけている
たにんをたすけようなんて
おもわないほうがいい
じぶんだって
たすけるべきひとなのだ
ひとはだれでも
じぶんと ....
時折 背負った荷物をすべて下ろしたくなる
そしてまぼろしの中の風のように
異邦人たちの衣を揺らしながら
何も持たずに消滅したい
時折 鳥となって旅路の終わりへと飛び去りたくなる
....
おしつけがましい
きぼうが
わたしのみらいを
とかしていく
せまいへやでいいの
あたたかいひのひかりを
すこしだけください
そうしたら
それだけでいきていけるの
あめのひの
....
「お世辞」
お世辞を言うのは
下手ではない
お世辞を言われるのが
下手なのだ
流れ落ちるほど
ユルユルに頬を緩ませて
頭の上に八分音符を
乗せてりゃいいものを
野 ....
{画像=120404231231.jpg }
やっとこ咲いた
桜の前で
人々は
デジカメやケータイの
シャッターを切るのに忙しい
かくして
ひとひらに宿る
いのちの姿は
小さなSDカ ....
「弱さ」より強いものはない
わたしは弱さに完全に打ち勝った人を見たことがない
みんながどこかで涙を流している
今も
どこかで
「弱さ」という名の最強の敵
弱いのは名 ....
ひとつ先のコンビニまで
遠回りする
ガムの味がしなくなるまで
遠回りする
はにかむ放置自転車
居眠りするガードレール
さえずり合う人の影
能天気に踊る前髪
温んだ街の喧騒が ....
「……殺して 早く」
「何も 殺さなくても」
「いいから殺して! 」
「ねぇ 見逃してやろうよ」
「"それ″私のどっちが大切なの」
「そっ そん ....
開けないドアの向こうに
なにがあるのだろう
開けないからこそ
それはそこにあると思う
そんな風に私は
期待をいつももっている
夜を少し
手のひらであたためながら
そっと朝にかえ ....
{画像=120321141924.jpg}
「おはよう」
春風が挨拶をする
足元のプランターに
....
薄いセロファンに
優しく包まれている
そのなかに
甘いものが
入っていることを
私は知っている
子供のころ
歯医者が大嫌いだった
何より
歯医者のおじさんが嫌いだった
というか ....
僕は病んでる自分を疎ましく思ったり
でもいとおしくもある
診察券にはだいぶ慣れてきたし
人間て病んでて当たり前なのかも知れない
検査着に着替えて腹部CTをとる
さ ....
家を出る時に
ちらほらと
降り出した雪が
そう時間をおかないうちに
吹雪いてきた
三月もなかばだというのに
フロントガラスに
積もってゆく雪を
ワイパーでどける
ラジオか ....
てのひらをぱっと開いたら
ああ、なんだか少しさびしくなったみたいだ
たくさんのかわいいものや
泣けるくらいのおいしいもの
ああ、これらのものを
今でもきっと想ってるん ....
何かが叶うことを
素朴に夢見て
人間は生きている
一日一日を
地味に踏みしめてね
たった二百年も
生きれない人間なんて
太陽からみたら
それは ちっぽけだ
なんてね ....
祈る人はそっと目をつぶる
瞳に映るものは有限であっても
瞼に浮かぶものは無限だ
祈る人は無言である
言葉はいくら重ねても
心のかなしみには追いつかない
祈る人はみじろぎせず ....
時間には
ながいながいしっぽがあって
私はそれをつかまえようと
走ったり
あきらめたとみせかけてとびかかったり
を
くりかえして
無駄につかれて
ばかばかしくなって
反省して
つま ....
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