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小さな
ぼくなら
海の近くから
人ごみにでては 浮かれた音楽を聴いたり
アメリカ映画ばかり



 まるで
 大人の挨拶のようにきみが呼ぶから
 ぼくはきたけれど
 いつにない星 ....
気がつくと
幻影は去っている
残された静けさが
開放感と
自分であることの証しの取引が済んだことを
物語っている



 不思議なもので
 心の中から自由がきたとき
 彼は門の鍵 ....
母さん
ぼくは思いだしました
まだ若いあなたの
細くも強いその手にひかれて夏
緑に燃える蜜柑葉をくぐりどこまでも道はつづいていました
おばあちゃんのお家までねと
暑くて永い昼下がり
眩暈 ....
この一撃の
あなたの形容
(かかわり、受胎、伸びやかな意思)
(あなたのオリエントが、運河を手繰りよせる)
鞭をつれ
あくなき質を崇める欲求の
黒いヒステリックが
あなたに覆いかぶさる
 ....
六月の朝に好きな人に会う。

新しいときの創造は過去を手放すことなのに、音をたてて崩れる国のまえで、いまは少しも淋しくなれない。

ほんの小さな単語たちにも特権は与えられる。神は完全な意味で公 ....
わたしにある
他者の相

他者は正月にもちを食い
他者はゆっくり風呂に入る
他者は身繕い
他者は出かけ
他者は恭しい
他者は賀し
他者は帰り
他者は脱ぐ

他者を脱ぐ

ひ ....
できるなら
現場(そこ)でも祝福の気持ちでいたかった
たとえば
生涯一度の自分の家なら
これに関わるすべての人に
笑顔で労してほしいじゃないか


+ + +


行きの渋滞を避 ....
まどのこちらで膨らむレース
とぎれなく ひたながく
ひかりでいっぱいにささくれた
哲い うすみどりの風がおしいるのは
それは祝福ですわと
すずめたちがけたたましく喉をまっすぐにする
色とり ....
木箱の扉は
下辺が蝶番で、上からゆっくり開き
外に倒れてスロープになる


岸壁づたいに太い蔦
滑車一本で昇降できる
ロッジ部屋のような
木箱のつくり


+ + +


 ....
街で


首を竦めてぼくはひとり歩いていたのですが。
日暮れ色で賑わう通りでは
うっかりしていると
さっさと擦れ違ってしまいます
だぶだぶな外套(オーバー)に身をつつみ
壁のような背中 ....
じぶんのなかの書きたいことが霞んできたらそれこそ終わり




バランスとってんじゃねえよ


耳なし芳一
壇ノ浦に座す
撥は海風
火の肌をなぜる
赤い藻屑と沈んだままの(旗たち切れの)
悔いの嵐の そのなかの



めくらの芳一 どこへゆく
雨滝のよう 夜闇のよ ....
礼を尽くして
空き缶をいただく
あなたの日々は
わたしの知らないところで
正々堂々
みずからの命と向き合っている

早朝
髪をかき乱し
欠伸をしながら外に出る
籠にあふれるビールの ....
(月曜日)


案内板にうかびあがる
現在地
朱い
☆型

ルーツ



(火曜日)


水母をブイに
海図がうごく
あげるよ
権利証書の見返りに名づけた
「どこ ....
歩くのはいつも なまの義足
寄木細工のじん帯をか細い骨で震わせながら
足裏に
肌合いのわるい
なじめなさを押しつけても
二つのものが 交互に役割を担うから
どこか
と呼ばれるcell(セ ....
公的扶助の受給者の列を写せ
民は思う
なぜ、もっとしっかり生きないのか

貧困で餓死した親子の部屋を撮れ
民は思う
なぜ、生活の保障を受けないのか

国や自治体の生活保護行政の抜け穴を ....
球い地球の表をめぐる水の一部が
立体の水槽に拉致された

 左右にたなびく水草を移植し
 静止した
 とうめいな境界線まで
 眼光のアフリカンランプアイが群れる
 コントラストにまぶした ....
感覚は、何かがあることを教えてくれる。
それはその物が何であるのかは伝えないし、
その物にまつわる他のことを伝えてもくれない。
ただ何かがあることのみを知らせるのである。

(C.G.ユング ....
 夜のドックから走り出す多機能な女

関節を裏側にまわしてステンレスのホイッパーを固定する
ふるえる卵黄と小麦粉がはねつく
すべりだしたパーツからコルク抜きが選択されると
シールドはしぶく
 ....
なにも映せない、一枚の歪んだ鏡の塔のようだ、鏡のむこうに空が抜けて、地面が抜ける、わたしと思う人(問い一)もさくりと抜けてしまうのに、わたしと思う人(問い二)の舌だけが粘り強く、鏡の縁を這う、たしかラ .... 南島の
国際通りでるつぼに会おう
安里から
牧志にかけての人だかり

沖縄三越の道向かいから 平和通りはかまぼこ型で
龍の捩れる ガマほどにあやしく
おいで おいでよ
ほの暗くゆるやか ....
やぶ【×藪】
草木や竹が生い茂っている所。

へび【蛇】
《「へみ」の音変化》有鱗目ヘビ亜目の爬虫類の総称。

やぶ-へび【×藪蛇】
《「藪をつついて蛇を出す」から》よけいなことをして、 ....
 転がり
 笑いにおよぐ手は
 あなたの汀(みぎわ)に触れただろうか

いつしか愛は 大きく迂回する
あなたの的は
わたしたちの的であり
なのに欲しがるわたしの瞳はもろく
瑞々しい
 ....
いまにも降りだしそヲ、
    降りだしそヲ、
    降りだしそヲ、
    降りだしそヲ よ

            あの

 雲 底

  (  )
  (   ) ....
わたしへん
ものに執着しても
ちっともものと思っていないんです
はだかにしてとうめいにして
ギリギリの「アル」になるまで
投げて、こわして、きずつけて、ためします

それにくらべて
こ ....
せめて はいさぎよい
悔いにのみこまれてもその上に震えたつ
涙もかれた花のいろをしている

せめて はもとめない
とうめいになったからだで小さなものたちを拾う
どんなにこぼれても心のあ ....
殿上 童さんの乾 加津也さんおすすめリスト(56)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
砂の好きな海- 乾 加津 ...自由詩16*13-5-17
青春- 乾 加津 ...自由詩8*13-4-18
夏の日の思いで- 乾 加津 ...自由詩30+*13-2-11
プリザーブドフラワー_(想起させるものに、忠実に)- 乾 加津 ...自由詩14*13-1-27
六月の朝と植物- 乾 加津 ...自由詩15*12-12-29
他者の相_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩20*12-12-25
基礎に埋めたぜんまい- 乾 加津 ...自由詩19*12-12-11
まなざしにも自由の刑の宣告_(幻肢の砦たち)- 乾 加津 ...自由詩15*12-12-6
木箱と旅先の少年_(夢喰植物)- 乾 加津 ...自由詩12*12-11-17
秋を見つめてみませんか_三篇_(想起させるものに、忠実に)- 乾 加津 ...自由詩18*12-11-6
創作者たるもの独り善がりであれ- 乾 加津 ...自由詩18+*12-10-16
耳なし芳一- 乾 加津 ...自由詩23*12-10-6
むきあう人- 乾 加津 ...自由詩24*12-9-15
口に紋様もつ男_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩13*12-7-29
ひと借り峠- 乾 加津 ...自由詩21*12-3-1
オツタエシマス細胞- 乾 加津 ...自由詩16+*12-2-23
立体の水槽- 乾 加津 ...自由詩23*12-2-6
夢のつづき_(夢喰植物)- 乾 加津 ...自由詩19*12-1-30
多機能な女- 乾 加津 ...自由詩17*12-1-28
鏡の塔_(生体反応の設計)- 乾 加津 ...自由詩10*12-1-25
るつぼ- 乾 加津 ...自由詩18*12-1-4
どっこいしょ- 乾 加津 ...自由詩15*11-12-26
隻影- 乾 加津 ...自由詩27*11-12-15
雨がくる- 乾 加津 ...自由詩16*10-11-13
構造- 乾 加津 ...自由詩8+*10-10-9
わたしと__せめて- 乾 加津 ...自由詩16*10-8-5

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