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夜風がゆるく吹いていた
さくらが銀河のようだった
カップルが一組
川向こうのベンチに座っていた
僕たちはすこし道に迷ったようだ
たまに肘があたる
あてどない人生が
....
オレンジは青で汚れている
影絵のような駅舎をすぎる
夕暮れはだれかのカルテだ
西方の空が
光ではないもので
輝いている
オレンジは青で汚れている
影絵のような駅舎をすぎる
夕暮れは ....
夏休み
なんかいめかの
花火をする
お盆さえ
いっしょにいてやれなかった
贖罪を
火にくべる
はなやかな花火のあとに
さっきした
線香花火
....
はんぶんより
すこしいびつにふくらんだ
あかいつきが
駅前どおりにうかんでいる
重力をかんじさせている
胸のしずかな
熱いところに
線香花火のだまのようだ ....
遠くを思う
思うが積み重なる
それは思う時間で
測定される
もしかして人間って奴は
がらんどうの愛のなかを
すさまじい時間をかけて
きらめいたりしずんだり ....
蝉が鳴く
その風を
重い日を浴びて
歩いてゆく
ほぼ手ぶらで
携帯と
選挙の紙だけ持って
国民であることを
信仰とはきちがえる人
単なる仕事の ....
バックミラーに映る
夜の自販機
ひとのように白く
ひとのように小さくなってゆく
風がやんだ
蝉が鳴いて
闇がやんだ
バックミラーに映る
夜の自販 ....
蝉が鳴けば
朝からせつない
ドキドキして
何年かまえがせつない
大人のくせして
子供だった俺たち
よく別れられたよなあ
蝉が鳴けば
朝からせつな ....