真夜中に突然、玄関が開いて自分が帰ってくる
という光景を、ベッドの中から眺めるのは
とても不思議な気分だ
ああそうか、俺死んだんだよな、昨日の朝
死因は自分でもよく分からないけれど、
きっと ....
一人ぼっちで
影を踏んで遊んだ、帰り道
空は何者かに犯されて
真っ赤に燃えていたことを
それだけを、ただ
覚えている
 
無垢な手のひらを伸ばした
見知らぬ稚児の瞳には
あれは、鮮や ....
て、手を伸ばして
やわらかくてをのばして

その、影
ぼくらに届いて
君は
ぬりこめられて

たいよう
やさしくしずみこみ
耳のあな
つぼみのように閉じ

ふとんを頭からかぶ ....
肌の上に立つ水へ
重ならぬ葉と重なる葉
朽ちた枝を流す金
音は羽へ羽へと変わる


鏡の熱さ
肌の熱さ
指の腹の魔
鏡の熱さ


金に溶けてゆく色が
空をまだらに ....

駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れ ....
やっぱり残業してから見舞いに行くと
二十歳の彼が仕事を続ける
おじいさんの入院で家族も忙しいのだろうが
今 自分が抜けたら仕事も大変だと見極めた
この二年近くで働き 大人になったなと思う

 ....
考えが考えになる前の
弱くふわりとした場所の
まるい{ルビ柔毛=にこげ}に浮かぶまぶしさ
手のひらにのる
手のひらを吸う


ふたつに分かれた音のひとつが
もうひとつの背を ....
鳥カゴに串を一本入れときたいな
小鳥がいないことの理由を
誰が見ても分かるように
飛び散った羽もきれいに片づけて
「青い鳥」って書かれた
プレートだけを張りつけて
鳥カゴに串を一本 ....
誰かの何かになれないと知り
片方を閉じ星を見つめた
道のむこうの道を見た
風はひと葉にひとつあり
ひたいの上で水になった
指のはざまで光になった


生まれたばかりの宙宇の ....
増水の ために

すっかり 荒れはてて しまった

堤の かよって ゆく なかを

猫じゃらしを 噛み ながら

草ひばりの 音が ほそぼそと つづく

すすき野原を  ....
二十歳の黒髪のような、
ブルックリン橋から、曙橋を繋ぐ空が、
未踏の朝焼けを浴びてから、
青く剥落して、雨は降ることを拒絶した。
とりどりの青さを、さらに青く波打って、
空は、傘を持たずに、 ....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか

ひとと比べることで見いだせるものとは

柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
ぶら下がるその生殖器の先端を切ってお持ち帰り下さい。




歯を立てて噛み締めればジューシーな味が広がります「なまもの。」ですから。





 ....
ひとつの手記がある。
戦時中、理性を失った科学者がある実験を行った。
はじめに彼が用意したのは巨大な体重計だった。
その体重計の外観はベッドのようで、大人一人が楽々横になれる大きさがあった。
 ....
水や峡谷の国の演者が
水や峡谷の音を奏でれば
それが水や峡谷なのか
おまえの水や峡谷はないのか


孤独が{ルビ蠱毒=こどく}になるまでに
自身の何を殺してきたのか
それと ....
髪と声をほどきひもとき
あなたから生まれ出るものを
得ることなく得ようとしている
羽と鱗が 同じもののようにまたたく


夕日と虹といかづちを
分けることができないまま
 ....
 
 
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ

やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする

やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
さよなら、さよなら、


記憶を解き放って 
遠ざかる夏の
四角く切り取られた 空


枠からはみだした場所では
かなしみによく似た顔の
ぼくたちが
今も、酸欠になっている

 ....
全て乾いて
回り続けた
車窓に滲んだレールの錆が
鵲の群尾に一つ文字を願い 回る
回って、それは
草みどり 瓦屋根
白熱灯と傘 老女の舌先
流れてゆくのは
車窓に滲んだレールの錆が ....
夏だから?違うよいつだってすっ裸で寝ているよ阿呆だもの。



なーんかこんな日にケンカ見てるとうりうりするよね馬っ鹿じゃないの。



打ち水のお姉さ ....
お姫様が
何でも許してくれる王子に
浮気を告白しました
それを聞いた王子様は
持っていた剣で
お姫様を
刺し殺しました
「許してあげるよ」
そう言いながら
薄く目を開き
ぼんやりと霞む
蛍光灯に
壁や
柱は
照らされて

土壁に
生まれた
生きた
死んだ生物の
擂りつぶれた亡骸が
ジッ と
燐光を放っては
塗り固められているの ....
外へ飛びたち
かけらを食べた
光になれない
鳥は何になる



次の虫がもう
鳴きはじめた
小さな背の原

熱ではないもの
葉をひるがえす
さよならを解く

 ....
夢の中で風に吹かれていた
耳の中を風が吹き抜けていて
頭の中まで涼しくなった

寂しいから一緒に住む人を探した
総理大臣とかそういう
忙しい人じゃない人だったら誰でも良かった
暑いのはイ ....
ツミヲとおちんちんは、
いつも電車に乗ってやって来る。
ツミヲの棲み家は、
ここから二駅と四つ離れた駅から、
徒歩五分の閑静な住宅街の一角にある。
ツミヲはそ ....
ひなになれない
わたしは

せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ


飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない


 ....
火と花と手
小さな胸
火は花は手


風と声が水になり
窓の外を流れている
音の影は 鳥に分かれる


古い息が聞こえくる
指に触れて 景は走る
何かから逃れようと振り ....
仕事以外で涙を流すことはない。
それは家族が死んでも、
恋人が死んでも、
変わらない。
もし泣こうとすれば、
笑いが、
出る。
腹の底から弾けるような、
 ....
あたまを壁におもっくそ
あたくしを あたくしを 殴るのです
そう あたくし あたくしであるから
      







 ....
らうあ らうあ
翳りの帆
道を泳ぐ道を読む


悲しさになると
消える悲しさ
空と水をつなぐ坂


そばだてた耳が唱になり
影を踏まない影の足もと
ほころびをひとつ ....
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