コンクリートの塔の下で
小さくなってしまった、緑色の光源が
わたしを照らし
浮かび上がった舞台で、わたしは遊泳をしていたが
過ぎ去る車のエンジン音が
わたしをわたしへと戻した

化粧する ....
夜を走る電車
十五両編成の最後尾
ゆっくり居眠りしようと
乗り込んで席を確保した
はずだったのに
次の駅から
スノーボードと思しき
荷物を抱えて乗り込んできた
二十代前半の女性が
暫 ....
親指の付け根で床を知り、ゆっくりと、土踏まずから踵へと移動しながら床に触れてゆく
一足、一足。
その間隔は短い
少しずつ、床を確かめる
一瞬、床に顔が映った気がした

中空に手を突き刺すが ....
 現代詩フォーラム50選を発表し、わたしがたのしい。という企画です。
 みなさんついてきてますか?テンション落とさず残り35個いきましょう。



 016

 野球やりに行こうぜ磯野  ....
さて。
40歳になったら隠居すると前から言っていて、
そのとおりに隠居しながらもう三年くらい経った。
なんだかネット上で詩を書き始めてから
十数年も経ってしまったこんなロートルがしゃし ....
 
 
上り列車の中を
下り列車が通過していく
線路脇の草むらでは
無縁仏となった墓石が
角を丸くし
魂と呼ばれるものの多くは
眠たい真昼の
些細な手違い
ひと夏を
鳴くことで生 ....
詩はどこで生きるか
 =朝日新聞谷川俊太郎インタビュー
  「詩はどこへ行ったのか」から考えた事=

 世間的には、詩集も詩論も人の目に触れる機会はどんどん減っているように
私には思える。ア ....
朝起きて湯を沸かす
洗濯機を回し
仏壇と神棚のご飯を変えて
玄関を掃く
するといつも通りに学生が登校し
その向こう側では山が欠伸をする
洗濯物を干し
朝食を食べ
珈琲を飲む
夫を送り ....
車輪を空転させ
巻き上がった金色の砂埃の中で彼は踊るが
石に躓き足首を捻挫する

家でじっとする
永遠に陽のあたる家
しかし彼は照らされたくはないので
びっこをひきながら外へ出る
彼は ....
 
 
泡の中に階段
階段の突き当たりに崖
飛び込んでごらん、ウールだよ
と言って
飛び込んでいく民兵たち
砕け散ったポケットの中に
鉄屑
こぼれ落ちた鉄屑の雫で
埋め尽くされた野 ....
 
 
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
真夜中の台所の暗闇を手探りでさがして
やっとみつけたスイッチを押したら
なにも起こらなかったとき
なにかを間違えてしまった気持ちになる


アイボリーのしかくいこれには
スイッチ以外の名 ....
シャワーヘッドが壊れてしまった
近所のホームセンターに行ったら
シャワーヘッドは陳列棚に見当たらなかった
店員に訊ねたら彼女は
レジを指差して言った
あちらをご覧ください
シャワーヘッドを ....
{引用=
白く、鉄塔が、明け方の空に溶けこむ。昨日からの読みかけのページをめくるように、朝は、なめらかにわたしに降る。ここから失われたものなど、ひとつもないかのように、無音のまま、満ちていく。水を ....
             091210



九官鳥を捕まえた
明日からは
代弁してくれるので
雄弁家の顔を作る
泥粘土をこねて
顔に塗る
生乾きの間に
次の顔を考える
次の顔 ....
わたしの
これからはじまる
修羅場へようこそ
たくさんの首と
臓物が浮かんでる
沈んでる
今はまだ体内に
そんな修羅場へようこそ
何も欲しくない
だから奪わないで
すべて閉じている ....
一人でゲームセンターに行った帰り
コンビニの前で黄髪のお兄さんの鋭い一瞥と目が合った
単に喧嘩を安売りしているだけなのか
それともただ単に
一つの穴を巡る目眩く争奪戦の一つの
火蓋が切って落 ....
 
 
一人目の盗賊は目を瞑った
二人目の盗賊は葉の匂いをかいだ
三人目の盗賊は百本の口紅を盗んだ後アル中の妻に口紅を一本買って帰った
四人目の盗賊は人形の頭を終日かじり続けた
五人目の盗 ....
              091117



季節外れの仲良しが
オタマジャクシを呑み込んだ
いいのかいいのかいいのかい
いいんだいいんだいいのだい
三回叫んで目が覚めた
オタマジ ....
 
昨日より冷たい君の
手を引いて
坂道を上る
君の腕が肩から
肩から抜けてしまわないように
そっと引いて上る

途中、誰がつくったのか知らないけれど
昔からある赤茶けた工業地帯が
 ....
{引用=夜の階段を下りて
一階はとっくに海に沈んでいったので
その、密やかな貝を避けながら
水の中につま先をいれる

どこまでも透明な
水晶を重ねて束ねて作った
深海は 魚を飲み込む
 ....
一度でもいいから
朝を起こさないであげたいな
ゆっくり眠らせてあげたいな
朝は寝坊したことがない
サボったことがない
勤勉なんだな
それは昼も夜も同じ
きっと宇宙は真面目なんだな
だか ....
 
 
硬質に濁ったゼリー状のものの中で
僕らの天気予報は
軋み
軋んだ音をたて
初雪が観測されたことを
伝えようとしている

子どもたちが歩道橋から次々に
ランドセルを落とす遊び ....
討論番組風で
保守的で知性と安定感のあるキャスターの男女が
「ではここでVTRをご覧ください」
大学生ぐらいの恋人同士が
こたつに向かい合い座っているようで
しかし実はコタツの天板に見えたの ....
御社の最先端の遺伝子工学で
貝柱を持つカスタネットを開発したいです
言い終えたあと両手で顔を覆いました
面接でとうとう打ち明けてしまったボクの夢
しかし指の間から見えてきたのは
面接官の方々 ....
 
 
洗濯機に釣り糸を垂れる
魚が釣れる
うろこが晴れの光に反射してまぶしい
釣り糸を垂れる度に
次々と魚が釣れる
面白いように魚は釣れるけれど
魚は面白くなさそうにこちらを見るばか ....
 
これ、以前に頼まれていた資料です
と小田さんの持ってきたコピーが
湿っている
海に行ってきたんですよ
小田さんは微笑んで
きれいな巻貝をお土産にひとつくれた
去っていく小田さんの髪や ....

どういうわけかうちのごみぶくろだけ
いつもあけられてしまって
中身がまき散らされているの

ある日曜の朝
母が困惑顔で言ったとき
それはきっと妹を狙う肉食獣の仕業に違いない
とわた ....
 
 
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる

その帰 ....
 
 
部屋にハンカチが落ちていた
ふとした拍子、の形のままに
それから
洗面所で好んでよくうがいをし
何本かの正確ではない平行線を引き
人が衰えていく様子を眺め
時に貧しい正義を振り ....
小川 葉さんのおすすめリスト(1505)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
遊戯- AB自由詩6*10-1-18
人畜無害- kauz ...自由詩16*10-1-16
build/built- AB自由詩2*10-1-15
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【批評祭参加作品】停滞が継続していくこと。- いとう散文(批評 ...9+10-1-13
ひと夏- たもつ自由詩1110-1-12
【批評祭参加作品】谷川俊太郎インタビューから考えた事- 大村 浩 ...散文(批評 ...13+*10-1-9
いちにちのへんか- 小原あき自由詩5*10-1-8
- AB自由詩6*10-1-7
ノイズ- たもつ自由詩1310-1-6
記憶- たもつ自由詩1610-1-4
スイッチ- 因子自由詩5*09-12-20
シャワーヘッド- サトタロ自由詩209-12-15
「詠唱」- 望月 ゆ ...自由詩13*09-12-10
途方へ- あおば自由詩3*09-12-10
修羅場へようこそ- チアーヌ自由詩209-12-2
全ての哀しい夜のために- ピッピ自由詩609-11-28
十人の盗賊- たもつ自由詩809-11-24
蝌蚪- あおば自由詩4*09-11-17
接続詞- たもつ自由詩1109-11-17
水槽- もも う ...自由詩42*09-11-6
朝の笑顔- 昼寝ヒル ...自由詩409-11-6
初雪- たもつ自由詩2409-11-5
テレビの時代に- サトタロ自由詩409-11-3
三次面接- サトタロ自由詩709-10-30
後悔- たもつ自由詩409-10-25
巻貝- たもつ自由詩1009-10-23
世の中がどんなに変化しても、人生は家族で始まり、家族で終わる- 吉田ぐん ...自由詩53+*09-10-2
ブランコ- たもつ自由詩3509-9-26
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