すべてのおすすめ
例えばこの淡いマニキュアが私の指に馴染むように
あなたの指は私の体に溶け込んでいたし
ニュースキャスターの声が耳障りでないように
私の声は心地よさを訴えていたはずで
ただ気が付いてみれば
....
闇に溶けない夜が来た
冷めたコーヒーに浮かぶクリープが
あなたのスプーンで混ぜられたように
少しだけ溶けた雪をタイヤが踏んで往く
ここから二つ山を越えた街のはずれの山の上に住むあなた
も ....
一人ワインを開ける
一人ワインを空ける
欲しいのは
合鍵で部屋のドアを開けるあなた
私の部屋の鍵を持っているあなた
冬が深まるにつれ
春に近づいているとは思えず
記憶はあなたを探し彷徨い ....
ヤドカリは夢を見た
そんなに複雑な内容じゃなかった気がしないでもないが
たぶんこんな感じだ
この夜がクリームシチューのような色とトロみで
この殻がジャガイモのようにずしりと重くて
なぜか ....
深く暗い森の中を歩く私
間もなく目的の祖母宅があるはずです
道中、狼に声をかけられ
付き合い半分乗り気半分で遊んできました
お母さんにはばれていないはずです
祖母宅に着くと、いるはずの祖 ....
在るのは裸の身体だけ
愛されることの亡い裸体
持て余し自慰行為に溺れ
その声に驚愕し絶望し落胆する
脱力した身体を毛布に包み
無理矢理眠りに沈み込む
愛欲を押し出せば何か変わるだろうか
....
モノクロの…という言葉が
夢の中での出来事の暗喩だと
生まれて随分経ってから知らされた
そういえば、あの歌詞もそんな感じだった
だけど、僕の夢はオールカラーだ
そうして僕は切り出した
....
夜中にヤカンで湯を沸かそうとした
ただカップラーメンを食べようとしただけだ
ふとヤカンの内側に汚れを見つけた
汚れは小麦粉のようだった
何十回も湯を沸かしても剥がれなかった汚れ
嗚呼そうか、 ....
例えば変に糖質を多く含んだこの雑酒が
今年採れたてホップの絞りたてのビールだったなら
こんなにも虚しい気持ちにはならずに済んだのか。
玄関を入るとまず見えるのは
脱ぎ捨てられたあなたの靴
そっと並べる度、思い出の数も増えていくの
その先に長く永く二人の愛のごとく続く
実はたった2.5メートル程の廊下
両端に1つずつ ....
楽しそうに微笑むね
嬉しそうに笑うね
優しい顔で悩むんだね
キレイな顔で泣くんだね
丁寧にカレーを食べるんだね
熱くなさそうにコーヒーを飲むんだね
先週挑戦して失敗したカルボナーラ作り ....
嘘だと思いますか。
私が今夜あなたを想っていることを
嘘だと思いますか。
私が本当は彼を想っていなかったことを
嘘だと思いますか。
私は、嘘だと思います。
いえ、思いたいのです ....
もはや抱き枕と化した
その暖かな身体を
今一度確かめるべく君を喚ぶ
嗚呼あの夜もそうだった
無性に鍋を喰いたくなり
君を喚んだんだ
僕は独りで眠れない
とりわけこんなに寒い夜は僕 ....