赤い風船は空に向かって上っていった
高いところから見下ろす風景を見て
ハイな気分になっていった
下から吹き上げる気流が
自分の足をどんどん持ち上げてくれる
もうすぐ雲に届きそうだ
すると雲 ....
しなやかな風の
金糸を振るわせ
飛びかう陽の
青い弦を引くならば
蒼天を奏でる楽人に
なれるだろう
風光は耳を咬み
黄色い呼吸音で囁いた
黄塵の果ての
花埋まる皮膚を ....
二度と君を傷付まいと
『中途半端な距離
箱詰めにした言葉
偽善で温くなった手
夢を紡ぐ嘘
ぬかるんだ居場所』
そんな臆病な優しさを覚えるよりも
君の痛みを少しでも癒せ ....
仄白く明けてゆく空と
暦の眠りから覚めた蕾が
共鳴して
三月の和音を弾く
冬を忘れた陽射しは甘く
僅かに紅を挿した絹の切れ端に
はなびら、の名を与える
こころにある哀しみや空洞を ....
傘のほね
しずく垂れるさきっぽ
ぼうっと煙るような空を
みていた
置き忘れた想い
片手いっぱい
こぼさないように抱えたまま
見つからない答えを
いつまで待つの
むらさきの花が ....
新緑の歩調に
風のブーケが踊る
朝が来たのなら
花通りの空の
あたらしい風で顔を洗おう
うららかな候は
群青の筆をとり
太陽を描き始めた花の街へ
きみは、ハイカラに萌えて
モダン ....
囁いた
夜の気色は
失われ
流す滴は
藍へと染まる
ああ、窓を開けてしまったじゃない
開けちゃいけないなんて
分かりきっていたのに
目の前には白い山
涙眼で鼻の頭を赤くして
不細工なあたし
むずがゆいわ
もっと差し込んで欲 ....
遠い記憶の片隅に
桜の花が咲き誇り
淡く染めゆくその色に
時の流れを知りつつも
時の流れの哀れさも
歳を重ねて見えてくる
はかなきものは美しく
美しきものは泡となり
消えゆくものは夢と ....
夢見て追い掛けた
君の背中
夏雲
鮮やかに
生きた日々を照らすよ
僕等それぞれ
描いた未来を
確かめ合いながら
風を追い越そう
幻が永遠というなら
重ねた日々の
虚しさもきっと
空へ還るだろう
....
枯れない花にはなりたくないと
そう思えたなら
きっと美しく咲けるのでしょうけど
表と裏は
本当は裏と表かも知れないって話を
当たり前の事だけど
生き物は羽だとか羽根だとか
落としたりはするけどいきなり生えたりはしないって話を
引力に掴まえられて
土に還 ....
苦悩しながら歩く
悲痛な叫びもあげられずに歩く
腐った世界を見る
この目は
乾ききっていた
腐った自分を見る
この目に
輝きはなく
濁っていた
この腐った世界に
なにも ....
スパンコール散りばめたような
ビロードの夜
見上げればぽっかり浮かぶ
上弦の月
こんな夜は
お月さま たて琴にして
静かな森の湖に
音色をそっとながしましょう
銀の小舟 ....
気がつけば
自分の周りには敵だらけになった
嫌な人間は一人もいない
今の自分にはもっていない
自分の憧れをすでにもっている
そういう人たちに囲まれている
絶えず比べられ
常に上か下かを強 ....
濡れた逢瀬の
赤い林檎を拾った
こぼれた赤ワイン
仄かに染み色めく
背筋のほむらを冷やす
残照
去りた時計が奪う
くちづけ色は
おもいでがよく冷えた
葡萄酒の夕暮れ
....
まちがえることを
素直におそれた日々は
だれかのきれいな蝶々結びに
たやすく揺られる花だった
あの草原で
かぜを追いかけてゆくことに
不思議はどれほど
あっただろう
....
もう気が済んだ?
君の愚痴ならいつだって聞いてあげるけど
ホントはね 紡がれる言葉に
たいした意味なんてないんだよ
ただ僕と君がいるから
この時間に意味が生まれるんだ
きっと明 ....
ひとけなき寺のくぬぎの春嵐。
春雨は別れの歌の余韻かな。
南溟
五百円玉は機嫌が悪かった
カチャリと投げ込まれた
小銭入れの中には
たくさんの硬貨がいた
その中でも五百円玉は
一番格が上なので
一番大切にされなければならない
五百円玉は小銭入れの中を ....
{引用=
うすむらさきの 人々が 自転速度で 水平線から
粉末になって 夜になる 太陽が 空にのぼるから
きみは 太陽を掴まえる
緋色の ....
何も描かれていないその絵本は
風の中にあった
ミルク色をしたその紙の上に
風が運んだ川のせせらぎの音を
優しくのせてゆく
絵本の中では
水は静かに海へと流れてゆく
絵本の右上から小鳥のさ ....
記憶の糸は ここから近い
青葉とともに樹齢に添えば
風の渡りがよくみえる
耳を
やさしく奏でるように
静かなことばは
紡がれて
会えるひと 会えぬひと もし ....
春はまだ来ない
ここの春は 遠い
そして 一度やってきても
すぐに表情をかえてしまう
はる という音を発せようものならば
嫌でも 過ぎ去った季節を思い出させてくれる
けれど ....
ふと目が覚めると
深い森の中
木の葉のざわめきが
悪魔の声に聞こえ
薄く雲のかかった月が
湿った地面に影を落とす
叫び声を上げようとしても声が出ない
微かな声で名前を呼ぶけれど
....
明け方のビル群は
墓標のように見える
おれはタクシーを拾って
車のまばらな御堂筋を
一直線に南下しながら
疲れた頭の片隅では
死ぬまでに稼げる金を
ぼんやりと計算している
アス ....
こんな春晴れの日に
この同じ空の下
貴方は何をしているのでしょうか?
鳴らない携帯電話を握りしめながら
空を見つめる
満開の桜の花に
春の太陽が眩し過ぎて
貴方が見えない
....
踏みつけられても
立ち上がり
めげずに
花を咲かせてる
小さいけれど
元気に黄色
寒風舞う夕闇
窓から観ゆる
流れゆく木立は
ブルース
乱反射する
宵の明星
きみの氷結した
涙のレンズが
滲み出すならば
かまわず
泣いてしまおう
黄金に濡れゆく ....
たとえば
水銀の
体温計の
危うさだよ
それは
けだるさの
端っこで
かすかに
午後の授業
先生
砂時計が
ぜんぶ
落ちたら
眠ります
少し
似ている
前髪 ....
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