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走り去る緑
水田は
鮮やかにきらめいて
遠く木々が
燃え立つ
なんて
真っ青な
そら
これが
最後のドライブなら
そう言ってくれれば
よかったのに
梅雨と真夏の狭間で
紫陽花が耐えている
真夏の青空の色を湛えて
夏が来るのを
待っている
色はだんだん
褪せていく
散りきるまで
もうすぐ
深夜のファミレス
メロンソーダ
人工的なグリーンが
光を集めて
輝いて
私は
自分の席の話題に
ついていけずに
(バイクや車の話ばかりで)
辺りを見渡す
端の席に座っている ....
いつの間にか
色づいていく
さくらんぼ
眩しくて
さくらんぼ
ペアでなると
思ってた
そうでないのが
悲しくて
もう
二度と会えない
あのひと
今どこかで
空を見上げてればいいのに
音もなく
密やかに
こころがひび割れていく
絶望じゃない
そんなわけない
でも
それに似た何かが
ひび割れたところから
こころが、
染み出していく
たぶん
こころ ....
ゆっくりゆっくり
暮れなずんでいく
太陽が
月に
主役を譲ろうか
考えている
街は戸惑って
モノトーンになって
こんな夕暮れは
誰かといても
淋しくて
色とりどりの
小さなラムネみたいな
味だって
悪くない
ほんのり
甘くて
でも
これは
魔法の薬
ちゃんと眠りに
導いてくれる
ラムネみたいに
甘い夢を
見せてくれる
わけではないけれど
こころの扉、
ひとつづつ
鍵をしめていく
このままでは
あまりにも
辛いから
ひとつづつ
丁寧に
鍵を集めて
けれど
きっとそれは
忘却にもぎ取られ
探すことさ ....
思いつめていた
ぼくは
天界と地上を
さまよう
こころの中で
これ以上は
もう
これ以上は
猫は
ぼくのそばを
離れない
死の匂いを
嗅ぎとって
窓からは ....
たくさんの
小さな花
どれもみんな
上をむいて
咲いていて
私も
上をむいて
歩こ
上をむいて
歩いて
いこう
ふわふわ
まんまる
真っ白な
チーズケーキ
フォークがゆっくり
沈んで
私の秘密を
ブルーベリーは
きっと知っている
ゼリーが光を
反射して
チーズケーキ
....
追い風が吹いて
帰り道
ポケットに手を入れて
どこに帰ろうか
遠くで
口笛が聞こえる
部屋では
猫が待っている
たぶん
窓際に座って
通りを見下ろして
新緑が
....
そよ風
ゆらゆら
揺れて
ハート
ゆらゆら
揺れて
あの子はきっと
今頃
泣いている
こころ
ゆらゆら
揺れて
涼やかな
初夏の香り
漂って
滴を湛えて
一斉に
陽にむかう
草花たちよ
緑の宝石のように
貴重で
美しくて
その
生きるちから
涼やかな
初夏の香り
漂って
薫風
5月が
きた
風がそよいで
夜を駆け出して
どこに行けばいい
あなたのところへは
行けない
もう
引き裂いて
もつれたストーリー
違う物語を
お互い探して
風がそよいで
....
欲しかったのは
イメージ
実体をともなった
それではなく
影
揺らめいて
四つ葉
五つ葉
クローバー
幸運をもたらす
その緑
見つけたくなかった
影
揺らめいて
欲しかったのは
イメージ ....
そよ風が揺れる
新緑の公園
きらめいて
サッカーに興じる
少年たち
ヘイ!こっち!
ナイス!今の
ヘディングしたんだよ!
そよ風が揺れて
きらめいて
藤棚のベンチに ....
新緑を眺めながら
赤いゼリーを
ぷるんと含む
冷たく
とろりと
溶けて
でも
なぜか
こころは
溶けないの
どろどろの浅い眠りのなか
わたしは
魚になって
汚水を泳ぐ
人間になって
包丁を研いでいる
鳥になって
雨に打たれて
犬になって
うなだれる
夢と現実が
錯綜する
明かりなんて
どこにもな ....
僕は
いつも通り
彼女を家に送り届けた。
「ありがとう」
それから少しの沈黙があった。
僕はタバコでも吸いたいな、なんて
考えていた。
「ささやかな幸せな時間をありがとう。」 ....
ときどき
コンビニでおにぎりを買っては
思ってた
おかあさんのおむすび
食べたいな、って。
久しぶりの外泊で
おかあさんのおむすびを食べた
それは
ほんのりあたたかくて
....
暮れゆく夕方
薄墨色のそら
街はきっと
賑わっていて
病室のわたしには
届かない
また一年が
過ぎていく
そのことが
こわくて
新しい年が
こわくて
で ....
あ、が悪意で
い、が意地悪で
う、が疑い深くて
え、が怨恨で
お、が汚染で
そんな世界じゃなくて
あ、がひろいひろい「アイ」で
い、が色鮮やかで
う、歌声で
え、が笑顔で
....
ゆめのなかでさえ
あのひとは後ろ姿で
いつだって
後ろ姿で
ゆめのなかでさえ
好きとはいえなかった
あのひとの抱きしめたぬいぐるみを
大切に抱きしめて
ぬる ....
渡すまで
気づかなかった
2と3を間違えてつけたケーキ
隣あってたから
間違えたんだよ
なんて言い訳を
笑って聞いて
おいしいって
お世辞言って
ろうそくは
点けず ....
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